- 2010/06/26 安藤裕子 at 熊谷文化創造館 さくらめいと 太陽のホール
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2010.06.27 Sunday安藤裕子のアコースティックツアーの最終日。いつものバンドメンバーから山本隆二(ピアノ)、山本タカシ(ギター)の2人のみを率いての編成です。
会場はクラシックもできそうな天井の高い1000人くらい入りそうなところ。広いステージにピアノとギターがボーカルの位置から斜め後ろにそれぞれ置かれています。ステージ後ろにスクリーンもありましたが、使われたのは後半のみ。前のツアーの時もそうでしたが、照明と合わせてシンプルでおしゃれな使われ方をしていました。元々スローな曲が中心なので、アコースティックと銘打った形だとさらにしっとり感が強いのかな、と思っていたのですが、意外にも今までで一番明るいフレンドリーな感じのライブでした。
最初の「はじまりの唄」はボーカル入りをとちったのか、いきなりやり直したり、続いての「TEXAS」で手拍子を促したりと。「のうぜんかつら」は曲を作ったエピソードが語られ、昔おばあちゃんがおじいちゃんに宛てた手紙が仏壇から見つかって、それにメロディをつけたのが原曲だったそう。その原曲バージョンをちらっと歌ってから、今の「のうぜんかつら」に入ったり。
今回結構知らない曲が多かったですね。新曲もそれなりにやっていたのですが、昔の曲であまり普段やらないものも織り込んでいたよう。「黒い車」という曲のアレンジが、最初のドロドロしたピアノとギターの音から、ジャズな感じの早めの演奏に切り替わっていくもので、かなり強烈なイメージがありました。
リクエストを募って歌ったり(あちこちからいろんな曲名が挙がるが、最初に声が挙がった「ポンキ」になった)、ギターを弾きながら歌ったり(新曲だったよう)と。タンバリンやぶわーっとなる金属性の笛(なんて言う楽器でしょう?)などの小道具も使って演奏に加わる場面もありました。本編ラストでは、みんな立ち上がって手拍子とラーララーとコーラスしたり。その曲は「人生お見舞い」という、今の自分の状況が悪いのは家族のせいだなどと他人への八つ当たる曲だそうですが、人間落とし穴にはまることは結構あって、そんなときは他人のせいだーとぐちぐちいったりしても良いじゃないかと、大切なのはなんであれ這い上がろうとすることだ、と語られていたのはおもしろいなと思いましたね。
以下、余談です。
- 2010/06/25 世武裕子 at 代官山 晴れたら空に豆まいて
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2010.06.26 Saturdayくるり主宰のレーベルより2枚のアルバムを出しているクラシック作曲家兼ピアニスト兼シンガーソングライターの世武裕子のライブ。以前、複数のバンドが出るイベントでキーボードソロ(うたものが多かった)を見たことありましたが、他奏者を入れた単独ライブを見るのは初めてです。この変わった名前のライブハウスは初めて来ます。代官山駅から徒歩2分ほど。青山にある「月見ル君想フ」というライブハウスの兄弟店のよう。
ライブは2部構成で、1部が1stアルバム「おうちはどこ?」からのオリジナルクラシック楽曲を再現するライブ。2部が2ndアルバム「リリー」からのうたものを演奏するライブ。自分は1stアルバムしか聞いたことないのですが、とにかくこのアルバムが大好きで弦楽器隊を入れた編成でやるということで、前からかなり楽しみにしていました。お客さんにはくるりのメンバーや元くるりのドラム森信行、PARAのドラム千住宗臣などの姿も。
1部開始。初めの3曲は、バイオリン奏者2人を入れてピアノと3人編成。最初の曲はおそらく未発表曲で、その後「旅のはじまり」「窓」と個人的にとっても好きな2曲。3人の楽曲が輪唱のようにフレーズを出し入れし、聞き味抜群。リズミカルに響くピアノもとっても印象的。クラシックは全くといっていいほど聞かないのですが、世武裕子の楽曲はとってもリズムが強調されていて体にとってもなじむ。フランスのエコールノルマル音楽院映画音楽作曲科というところでクラシックを学ばれていたそうですが、その一方でロックや民俗音楽なども好んで聞かれていたそうで、そのことがおそらく反映されているんだろーなーと。1曲の時間もポップソング並みの5分前後が多く、その中でドラマチックに曲の展開をさせているのも魅力的です。
3曲終了後、ヴィオラとチェロ奏者を入れて、弦楽器隊の四重奏の楽曲、「少女 - 裸足」「少女 - 横顔」「少女 - 声」「海探し」(曲順は記憶無し)の4曲を。世武裕子は指揮を務めます。その姿を見て、クラシックで指揮者がいるのはリズムキープするのに必要な存在なんだろーなーと、いまさらなことを思ったりしました。これらの楽曲も堪能しました。正確無比に演奏するより、とにかく楽曲の魅力を思いっきり響かせるというところに重点を置いた印象。どの曲か忘れちゃいましたが、途中、演奏者がドンと足を踏み鳴らしてアクセントっぽく入れてた場面がありましたが、それは通常のクラシックでやったりはしないのではないかなーと。
1部最後は未発表の曲で、4弦とピアノ、さらに途中からドラムまで入ってロックな要素もありつつ最後の方にかけて盛り上がっていく大作。「今度はベースも入れてみたい」みたいなことをおっしゃっていましたが、このような聞き味の楽曲でまたいろいろ聞いてみたいな、と思わされました。
2部はがらっと変わり、ピアノ/キーボード/ボーカルを担当する世武裕子にベース、ドラムが入ってのボーカル曲。以前のキーボードソロでも感じましたが、ジャズ、ブルース、民謡などいろんな味を持つ楽曲をアレンジのみならず、声の出し方も変えつつ演奏する世武裕子はとっても器用。そして当たり前かもですが、ピアノがうまい。それぞれの手が別々のリズムで弾くポリリズム的な聞かせ方も随所に入れてましたね。ただ演奏自体はすごいなーと思いつつ、ボーカル曲自体はものすごいはまるようなものは個人的に無しでした(アルバム未聴なのもあるかもしれませんが)。こちらはもしかして、普段クラシックを聞いてらっしゃる方からすると、すごくおもしろく感じられるカモ、みたいなことを、1部の世界が好きな自分は思いましたね。1部はざっくりした白のシャツを着てほとんどしゃべらずにストイックに振舞っていた世武裕子は、2部では赤基調のワンピースを着て笑顔でMCしたりと印象ががらっと変わったりして、いくつもの姿を持ってらっしゃる方なんだろうなーと思ったり。
アンコールはピアノソロでのボーカル曲で、おそらくカバー曲(それまでのメロディとかなり印象が違ったので)。詞を覚えていれば検索して、何の曲か分かったかもしれないのですが、かなりうろ覚えで調べられず。。
とにかく多方向に興味の向くまま、いろいろな楽曲を作成し、演奏し、というのを続けていって欲しいですねー。もっと人気が出て東京国際フォーラム辺りでこのような2部構成で聞かせてくれるようになったらおもしろいかなーと思ったりしました。
- 2010/06/12 Vincent Atmicus at 新宿Pit-Inn
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2010.06.13 SundayROVOやUAのバック等、様々なバンドに参加するドラマー芳垣安洋のリーダーバンドVincent Atmicus。打楽器のみで構成するOrquesta Nudge! Nudge!の方は見る機会が結構ありますが、こちらのバンドは活動回数自体が少なく、自分は2006年以来3回目に見ることになります。芳垣安洋は多種のバンドで精力的に活動されていて、新宿Pit-Innで異なる形態のバンドを4日連続で演奏するという。その4日目になります。
メンバーはドラム×2、エレクトリックバイオリン×2、トロンボーン×2、ベース、バイブラフォンという特異な編成。ステージの楽器配置もドラム2台がステージ前方中央を固め、そこを回りの楽器がぐるっと取り囲む珍しい形。ドラムとエレクトリックバイオリンのお一人はROVOのメンバーとかぶっています。もう一人のエレクトリックバイオリンは渋さ知らズでお馴染みの太田恵資、ベースは大友良英 NEW JAZZ ORCHESTRAなどに参加されている水谷浩章。これまでアップライトベースを弾いている姿しか見たことありませんでしたが、この日はエレクトリックベースを。
音はジャズをベースに各国の様々なリズムやメロディがからむ独特の展開を聞かせる曲が多いと書いたら良いのでしょうか。即興的な要素や、ポリリズム、ユニゾンなどを駆使して、要所でメンバーのアイコンタクトや合図などでハッとなる展開で聞かせて、非常に堪能しました。
過去アルバムを3枚出していて、そこから万遍なくやっていたようです。個人的に「Vincent III」収録の「Cool Running」をライブで初めて聞けたのがうれしかったですね。スカっぽいはじける感じのリズムに各楽器が楽しいメロディを入れてくる曲でウキウキしました。太田恵資は渋さ知らズでも、このバンドでもヘンテコなアラブっぽいボーカルを(時にスピーカー交えて)入れ込んでくるのですが、この日はボーカルが多彩で、「Oferere」の終盤ではロックバンドかっての絶叫を入れたり、他の曲(なんだったか失念)ではささやくような低いボーカルを入れたりと。トロンボーンのお一人青木タイセイ(大友良英 NEW JAZZ ORCHESTRAやUAのバックなどにも参加されている)は、ピアニカやフルートなども用いて、曲に色づけしていました。Vincent Atmicusの曲は、芳垣安洋と青木タイセイが書いているものが多いようです。
かっこよすぎるベースラインを軸にアフロビートで展開する「Eatborfa」で本編をにぎやかに締めた後、アンコールは7年前ほど前に亡くなられた芳垣安洋の父に捧げたという「屋上の飛行機凧」でしっとりと終了しました。どの曲でもポップというかくせになるというか印象的なメロディが織り込まれていて、それが非常に好みですね。ライブをされる機会自体が少なそうですが、また見てみたいです。
- 2010/06/06 DONNA SUMMER NIGHT at 新宿スペース・ゼロ
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2010.06.12 Saturdayテレビでお笑いを振りまいているスーパースター出川哲朗が座長として率いる劇団SHA・LA・LAの12年ぶりとなる公演。団員にはこれまたお笑いとして活躍している内村光良と南原清隆(ウッチャンナンチャン)、舞台役者を中心として活躍している入江雅人らが所属している7人組。脚本・演出は入江雅人が担当。
ウンナンがテレビで活躍し始めるとともに、劇団自体もテレビに進出し、単独で「ウッチャンナンチャン with SHA.LA.LA」という番組があったり、「ウッチャンナンチャンのやるならやらねば!」のコントにも出たりしていました。ただ劇団の活動自体はウンナンがテレビで売れすぎて、参加できなくなり始めてから活動回数が減り。1998年の舞台を最後に活動休止していたようです。この辺の番組はよく見ていましたが、舞台自体を見たことなく、今回念願のと言える機会でした。
舞台設定は、数年後の未来の湯河原。取り壊される前の廃校状態になった高校に、かつてそこに通っていた同級生の友達が集まり、今度結婚する一人のために、ホラーっぽいVTRを取ろうとします。ただ世は夏に雪が降ったり、変な菌が出回って、死者がフラフラと動くウォーカー(フラフラ歩いているので危害は無い)やゾンビ(思いっきり危害を与える)がいたりして、深夜の廃校はなかなか恐いシチュエーション。
10分の休憩をはさむ2部構成で、1部はVTR収録を進めるシーン。出川哲朗と南原清隆が、決められたセリフなのかアドリブなのか判別がつかない笑いを多く振りまき、後につながるネタ振りが随所にまかれます。2部は高校時代のシーンから始まり、その当時のやったことやそれぞれの思いなどが映し出されます。数年後の未来のシーンに戻って、敵役?の登場(田中和治演じる放浪者に高校時代からずっとほれ込んでいる仁井田さゆり)して、物語は一気に緊迫していきます。各人はいい大人になっている年齢でも、なんともうだつが上がらない状態で、そこをぐさぐさとさされる。そこのダメージと、外でゾンビが徘徊する今存在している危機が交差していき、クライマックスへ。鍵を握る存在の、ウォーカーになってしまった高校時代みんなの憧れの先生(朝山まゆみ)は、過去のシーン以外はほとんどウォーカーとしてじっとしていました。途中からガムテープで口もふさがれ、大丈夫なのかしらと思ったり。
テレビで見る方々も舞台役者としては少し違う顔を見せてましたね。特に内村光良と入江雅人の冒頭の行き詰るやり取りなんかはすごい。南原清隆は妙に恐がりな売れない役者を演じるのですが、そのしつこい恐がり方がおもしろかったですねー。出川哲朗はかつてからは想像しがたいでっぷりしたものになったのは言うまでもなく、内村光良もやや体型がくずれがちになっている中、きっちりとインナーマッスルまで鍛えているであろう南原清隆のスレンダーっぷりが印象に残りました。
舞台はほとんど見る機会が無いので、他と比べてどうこう言えることは無いのですが、ここまで作り上げるのは大変なんだろーなー、すごいなーと感動しました。
ロビーにはSHA・LA・LAとも結びが深い放送作家の内村宏幸(内村光良の親戚)や、ドロンズ石本、ホーム・チーム与座、ネプチューン原田と堀内がいらっしゃいました。原田と堀内は開演前と休憩時に連れ立ってトイレに行く姿を見て、仲良いなーと。
- 2010/06/05 Spangle call Lilli line at 恵比寿Liquid Room
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2010.06.06 Sunday3月にシングル「dreamer」、4月にアルバム「VIEW」を出し、さらに6月下旬にもアルバム「forest at the head of a river」を出すのを控えているという音源作成では精力的に活動しているSpangle call Lilli lineですが、ライブは極端に少なく、今回1年半ぶり。しかもこれ一回きりでしばらく3〜4年はやらないと宣言している貴重な機会になりました。
チケットは売り切れで、会場はすし詰め状態。メンバーは女性ボーカル/小型キーボード、男性ギター×2の3人組ですが、ライブのサポートとしてキーボード、ベース、ドラム、コーラスが加わった7人編成で行うのが通常の形。今回はさらに曲により、弦楽器隊(バイオリン、バイオリン/チェロの2人)、ピアノ(前回のツアー時にも参加していて、後半全面的に加わる)、ギター(相対性理論というバンドの方。プロデュースした「dreamer」1曲のみのゲスト参加)と豪華な編成でした。
1曲目は次のアルバムに収録されている「zola」という長尺曲。どこかのWEBでのインタビューで「いきなり未発表の長い曲からやるかも」みたいなコメントを見た記憶があったので、予感はあったものの、意外なスタート。ザクザクとしたミドルテンポのドラムが印象的なスタートからいろんな展開を見せるもので、ボーカルも明確なサビうんぬんあるものでなく、時折はさまれるような流れていく展開で、好きな感じでしたね(今ならmyspaceで視聴可能)。
そこからは「VIEW」からの曲を立て続けに4曲ほど。「eye」のバイオリンが入ったCD通りのアレンジが聞けてうれしかったですね。今回のアルバムで一番好きな「shower beige」をやらなかったのはちょい残念。旧作からも結構やっていましたが、せっかく弦楽器隊が入るということで、そこを生かそうとした曲を採用する傾向が多かったでしょうか、「Nanae」からの選曲が多かった印象です。ライブで聞くのも初めてな曲が結構あった印象で、「Stereo」「Crawl」「Inc.」あたりはたぶん初めて。「Stereo」は終盤のメロディをコーラスの方(髪を短くされていてかわいさが増していました)にまかせて、ボーカルの大坪加奈がフリー気味にかぶせていくところなんかはすごい良かったです。
ライブが1時間過ぎたあたりでメンバーが一回引っ込み、前回と同じく休憩タイムかな、それだったらなんかアナウンスがあっても良さそうだなーと思っていたら、ピアノの方が現れ、ソロの演奏を。そこから衣装チェンジをした大坪加奈がすっと入ってきて、「Inc.」を歌い始めたのはゾクッときましたねー。今回のライブで一番印象的なシーンでした。
アンコールの「E」で締めた2時間ちょいのライブでした。Spangle call Lilli lineを知ったのがこの曲からで、タワーレコード池袋店で流れていて、一発で気に入ってCDを買ってからずぶずぶとはまっていきました。ライブを見る回数も7回目と、極端に少ない彼らのライブを考えると結構見ているような気がします。自分が見る他のバンドより演奏は不安定な気もしますが、ボーカル、メロディ、アレンジと何かつかまれるところが多く、大好きなバンドですね。メンバーは音楽以外の仕事も抱えながらということで、マイペースな活動っぷりは続きそうですが、これからも追いかけていきたいと思います。自分が10代だったら、3〜4年後という期間はとほうもなく感じられますが、年を食った今となってはあっという気もします。MCでも話をされていましたが果たして、次のライブは次のワールドカップより前に行われるのでしょうか。