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2017/03/01 Steve Reich at 東京オペラシティコンサートホール

 アメリカ・ニューヨーク出身の音楽家Steve Reichのコンサート。ミニマルミュージックの巨匠である彼は御年80歳を迎えたということで、アニバーサリーとして世界各地をツアーしているそう。その日本でのコンサートです。見るのは初めて。2年ほど前「Sextet」という4人の打楽器(マリンバなど)と2人のピアニストで演じる曲の映像にやたらはまっていた時期があり、今回生で見る機会があると知り、速攻でチケット取りました。2日連続公演の初日。新宿・初台にある高級感あり過ぎなホールにふさわしい、特別感のあるコンサートとなりました。
 
 会場に入った時に配られたプログラムにはこの日行う曲もあらかじめ書かれていて、クラシックコンサートスタイルを感じさせます。おまけに各曲の解説をSteve Reichが(日本語に訳されて)ご丁寧に書いているのもすごい。この日演奏したのは4曲。
 
 1曲目は「Clapping Music」という2人が手拍子だけで演奏する3分ほどの短い曲。Steve ReichとColin Curryという後の曲で出て来る演奏陣を束ねるリーダー的存在のメンバーが出てきて、2人で手拍子演奏をするのですが、ポリリズム的にずらして展開して最後収束するような形で締める曲でした。帽子をかぶって服も特に着飾っていないReichは若々しい。この曲が最初に演奏されたのは1973年と(すっかりおじさんな)自分ですら生まれていない年からやっているとか。Reichが演奏メンバーとして出て来るのはこの曲のみで、後の曲はColin Curry Groupというグループのメンバー中心に演奏されます。
 
 2曲目は「Mallet Quartet」という2台のマリンバと2台のバイブラフォンを4人のメンバーが叩いて演奏する曲。マリンバがベースとなるReichらしいリズムを出して、そこにバイブラフォンがメロディを付けていくような曲。悲しいとかうれしいとかの感情のベクトルがどこに向かっているのか認識できないけど、心の何かが呼び起こされるようなリズムとメロディはつぼに入ります。緻密な打楽器のからみを骨の髄まで楽しみました。曲的にはこれがこの日一番のお気に入りでした。
 
 3曲目は「Quartet」という2台のピアノと2台のバイブラフォンを4人のメンバーで演奏する曲。一人のピアニストの脇に控える人がいて、楽譜を次々とめくっていました。他の3人は自分でめくっていて、めくるタイミング含めて練習重ねてきた感ありました。途中バイブラフォン奏者が自分の担当パートが無い時に、ピアニストのところまでスタスタと歩いていって譜面めくって戻っていくという場面ありましたが、あれだけでも見事と思っちゃいました。この曲はピアノによるミニマルなリズムが持続する場面もありつつ、それほどミニマル要素たっぷりという要素はなく、バイブラフォンのメロディをしっかりと聞かせつつピアノともからんだ複雑な構成、聞かせ方をするという印象の曲。4人の演奏者が断片的に音を鳴らして一つの流れを作るような場面もあって、(全然違う音、世界観ではありますが)ハイスイノナサの「reflection」を思い出したり。
 
 最後の曲に入る前にインタビュアー、通訳者がついてのSteve Reichとのトークセッションが20分ほどありました。Steve Reichはめちゃくちゃよくしゃべり、通訳しきれないからと途中司会者が合図をすると、「おーそうかそうか」みたいに照れて、通訳のために一旦話を区切っていたのもお茶目でした。覚えている話では、Reichは有名サックス奏者のJohn Coltraneに憧れていて、先日のアカデミー賞会場でThird Coast Percussionというグループが「Mallet Quartet」を演奏して、その中にJohn Coltraneの息子のRavi Coltraneが加わっていたのが感慨深いとか、ロックサイドのミュージシャンともからんでいてRadioheadのJonny GreenwoodやThe NationalのBryce DessnerがReichの曲演奏メンバーとして加わったりしたことがあるとか、など。
 
 最後の曲は30分に渡る長尺の「Tehillim」という大曲。Colin Curryが指揮を執り、4人のボーカル、6人の打楽器奏者、2人のキーボード奏者、フルート奏者、ピッコロ奏者、オーボエ奏者、コーラングレ(初めて知る楽器。オーボエの低い音バージョンのよう)奏者、2人のクラリネット奏者、4人のバイオリン奏者、2人のビオラ奏者、2人のチェロ奏者、ダブルベース奏者と総勢28人の大所帯。これがもう圧巻でした。タンバリンや手拍子とソプラノボーカルがからむスタートから様々な展開を聞かせます。
 
 ひたすらミニマルに刻んでいたかと思うと、時折ハッとするようなテンポチェンジするところとかゾクゾク。特にマラカスが効果的で、1個のマラカスの音だけでスピードアップするところは、その音だけで全体の色が鮮やかに変わっていってすごいなと。弦楽器やクラリネットの音もスリリングさや壮大さを感じさせます。細やかに呪術的に聞かせる4人のボーカルは中盤抑えた展開挟みつつ、その後どんどん上昇していくように歌い続けて、ラストにハレルヤを歌う場面は全楽器がキレイな絵を描くような、音のみで飛翔しているかのように組み合わさって怒涛のラストとなりました。そしてこれまた全然違う音、世界観ではありますが、この曲聞いていて世武裕子の「Good Morning World!」という曲を思い出したりしました。
 
 スタンディングオベーションも飛び出すお客さんの拍手喝さいに、Steve Reichも含めてメンバーは何度もステージに戻って挨拶していました。このコンサート聞けたのは良かったなーと感激ひとしおでした。果たしてまた体験できる機会は訪れるでしょうか。

 

author:de nudge, category:live(Othersホール), 00:37
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