スペイン、バルセロナで行われている電子音楽中心のイベントの東京版。過去何回か行われているようですが、自分は初めての参加。土曜日がオールナイトで、日曜は昼から行われているという変則的なスケジュール。東北地方太平洋沖地震の影響によって、キャンセルになったアーチストが続出したようですが、無事開催。主催者と出演者の方には感謝ですね。両日とも盛況。メインステージの音もよく、様々な音を堪能しました。
ステージは大小4ステージありました。自分はメインのステージ中心にふらふらと。がっつり見たのは、(初日)Ryoji Ikeda→Yoshinori Sunahara→Flying Lotus、(二日目)にせんねんもんだい→ROVO→Battles。それぞれに簡単な感想を。
Ryoji Ikeda(池田亮司) 名前も初めて知る方で、PCを用いてのパフォーマンス。映画のフィルムが立ち上がる時の音のようなバスッバスッとかジーなどの断続音を鳴らしていくのが中心。リズムもかなり不定形で踊れる音楽ではありません。後ろのスクリーンは白と黒の線や四角がいろいろ形を変えて映し出されています。演奏者の無表情さとも合わせて、モノトーンな世界で独特。よくこんな世界を作り上げたなーと。
Yoshinori Sunahara(砂原良徳) 2年前のLiquid Roomで見て以来。去年出したシングル「subliminal」と今年出す「liminal」とひさびさに音源を出してきて、ライブも楽しみにしていました。演奏した曲はそれら(たぶん)新曲と前作「Love Beat」から「earth beat」「balance」「lovebeat」「the center of gravity」を半々くらい。ライブは砂原良徳とサポートメンバー(PCからの曲出しと映像を映すVJ)の3人で。皆真っ白の防護服に身を包んでました。ひんやりとした電子音にゆったりとしたリズムを重ねるのは、「Love Beat」からの流れで変わらずですが、新作の方がリズムは多彩になっている印象。バックの映像とも合わさって素晴らしいパフォーマンス。一番印象に残っているのは、真っ黒な地球に、各都市が(おそらく)人口に応じた光のタワーを空に伸ばしている絵を俯瞰して映しているかのような映像でした。
Flying Lotus 震災の影響で海外組が無事来るか懸念されていて、事実キャンセルが多かったのですが、その中で早々になにがあっても行くと宣言していた、Flying Lotus。2年前のelectraglide以来、見るのは3回目になりますね。前回までは一人でのパフォーマンスでしたが、今回は3人組。キーボード奏者(翌日ソロで出演していたDorian Concept)とベース奏者を従えて、本人はいろんな機械を操って音出しします。なんと胸と背中に「亀」と書かれた孫悟空の衣装を着て登場。この日のパフォーマンスはすごかったです。ジャズとヒップホップ、サンプリングされたボーカルなどをいろんなブレイクビーツに混ぜ込んで独特の音楽を作り上げるのですが、その混沌さに心奪われます。前半はキーボードやベースが生音になったことによるオシャレ度が高いジャズっぽいところが印象に残っていて、後半にかけてどんどん踊れるビートを重ねてくると展開も素晴らしい。機械音に対する生音のかませ方が素晴らしく、本人の肉声も合わさって相当に盛り上がりました。本編終了後にみんなで「かーめーはーめーはー」と合唱してアンコールに入ったのも良かったです。
にせんねんもんだい この日は14時から開催されていたのですが、16時に到着。Seefeelというバンドに替わっての出演らしく、前日に知りました。去年の渋谷LUSHで見て以来8回目くらいになります。ギター、ベース、ドラムでミニマルなノイズを重ねるかっこ良いインストロックを演奏する3人組です。最初にやった曲は新曲でしょうか、ベースとドラムが重ねるリズムをバックにいつもギターを演奏する高田正子はキーボードを弾きます。ハイハットの刻みに個性は感じますが、この辺の楽曲が体になじむのはまだ先かな、という印象。そこから「想像する ねじ」「ミラーボール」「ikkyokume」と続けて3曲。ギターで奏でる細かいフレーズをその場でサンプリングさせて重ねて展開する先の2曲と、豪快にギター、ベース、ドラムがはじけるラストの曲と素晴らしい。特に「ikkyokume」は曲の構成もすごく、最後高らかに鳴るギターまで聞かせますねー。
ROVO おなじみROVOで数え切れないほど見ています。Studio Coastで見るのは3回目。ギター、エレクトリックバイオリン、キーボード、ベース、ドラム×2でダンスミュージックを演奏するバンドですが、今回も素晴らしい。最初にアルバム「RAVO」から「TANGER」「ECLIPSE」の2曲演奏して、続いての2曲は新曲でした。スワンプロックみたいなギター(めちゃかっこよい)を中心にミドルテンポのリズムで展開するROVOには珍しいかなと思える曲と、単音のキーボードに切れの良いダンスビートが鳴らされて、途中ミニマルなキーボード音に他の楽器がユニゾンで合わせたり離れたりしながら皆を踊させる曲といずれも良い。混みこみで踊るまではいかないですが、のめりこみました。
Battles 2年前のelectraglide以来、見るのは6回目になるBattles。去年Tyondai Braxtonが脱退して以来3人組になって見るのは初めてになります。キーボード/ギター、ギター/ベース、ドラムの3人組。真ん中前線にやたらシンバルの位置が高いドラムが位置するのは変わらず、その両脇に2人が位置します。electraglideの時にやったかなという曲はありましたが、旧曲をTyondai Braxton抜きでアレンジしなおすのではなく、新曲のみできました。キレの良いパワフルなJohn Stanierのドラムを軸に、どこかさびしげなフレーズが漂うキーボード音、ノイズ交じりのギターやベース、サンプリングされたボーカル(かなりポップ)と様々に聞かせました。大勢の人数をぐわーんと盛り上がてしまうような瞬間は少なく、その一音一音を固唾を飲んで聞かせる曲が多かったですね。本編ラストでやった曲がかなりかっこよかったです。
他のラインアップもちょこちょことつまみ聞きしました。その中で印象に残ったのは、DJセットながらKarl Hydeで煽ったり歌ったりしていてライブ感満載だったKarl Hyde & Darren Price (Underworld DJs) 、シュッシュッとした音でファンキーなテイストを出しているのがおもしろかったAxel Boman(アンコールCDでかけたゆったりした朝焼けの印象が漂う曲も良かった)のDJ、ざらついたファンクなテクノ曲がかっこよく、歯でフェーダーやレコードを操ったり、お子さん(ちょーかわいい)を抱き上げながらDJしたりとサービス満点だったClaude Young、PCで非常にキレイなシンセ音を鳴らして、そこに心地よいダンスビートを鳴らして躍らせていたKAITOのDJ。特にKAITOは最初の30分ほどしか今回聞いていないですが、次機会があればフルセットで聞きたいなーと思わせられるほどはまりましたねー。