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2023/12/28 大友良英ニュージャズアンサンブル at 新宿Pit-Inn

 4日間連続でピットインで開催されている、様々な音楽を手掛ける大友良英主催のライブ3日目の夜の部に参加しました。この回は大友良英が率いるジャズグループ。ニュージャズのクインテット名義は再始動した6年前に見ていますが、人数増やしたアンサンブル名義は15年以上ぶりに見ます。今回の編成はニュージャズで不動のメンバーであるギター大友良英、ダブルベース水谷浩章、ドラム芳垣安洋に、ピアノ高橋佑成、マリンバ上原なな江、サックス松丸契が加わった6人編成。今、いろんなジャンルのライブのお客さんに外国人の姿を多く見かけますが、この日も結構いらっしゃいました。会場満杯。
 
 間に20分ほどの休憩がある2部構成でアンコール含めて2時間ほどのライブ。1部はノンストップで最初から最後までやりきっていました。決め事ある程度ありつつ、即興でいろいろ展開させていたような印象でした。スリリングに音が交差する瞬間が多々あり、緊張感持って聞きました。じわじわ小音の演奏がしばらく続いて、ベースのリフが入ってからノリ良い展開やジャンクな音が入り込んできます。ドラムはベースリフと協調したり離れて爆走したり。マリンバはドラムと協調する場面とピアノと協調する場面がありました。ピアノは静かな場面ではピアノの内部を操っての奏法や華麗さあるおしゃれメロディを入れてきたりと様々に聞かせます。ニュージャズ関連のバンドでは新鮮な音といった感ありました。急転直下な展開も随所にあり、一番印象的だったのはドラムがシンバルをひたすらガシガシ叩いてるソロが続いた後に強烈なベースが入り込んできた場面でした。
 
 2部は10〜15分ほどの曲を3つ演奏していました。最初の曲は新曲で3回目くらいの演奏になるよう。言葉を交わしたことはほとんどなかったもののライブをよく見に来てくれて顔を知っているお客さんが去年亡くなられたそうで、そのことを知ってその人のSNSの書き込みを見た時に最後に書き込まれていた「空が映えた2022年11月18日水曜日」という言葉とともに載っていた写真が非常に印象的で、その言葉をタイトルにして新曲として作ったそう。「今後形を変えていきながらですが、この曲は演奏し続けたい。」と宣言してから入った曲は、その言葉があったこともあるかもしれませんが、レクイエムでした。シンプルで穏やかなメロディのギターソロから入ります。このメロディにこのギターの音色の組み合わせでなんともいえない感情にさせられるのがすごい。曲が進むにつれて壮大になっていき、サックスで高らかにそのメロディが吹かれていった時は心揺さぶられるものがありました。
 
 2,3曲目は有名なジャズ曲のカバーのよう。「Hat and Beard(Eric Dolphy)」は、最初と最後にテーマがあり間は断続音的な演奏を中心にいろいろ展開させてました。「Lonely Woman(Ornette Coleman)」はこのバンド以外でも大友、芳垣関連のバンドで聞く機会ある曲です。アンコールは静かめな曲でピアノとマリンバの小音からギターが入って暫く3人の音が続いてから他の楽器が入って、スケールを押し広げていきます。ラストはサックス早いメロディをひたすら繰り返していって高まりに高めていって締めました。
 

author:de nudge, category:live(Pit-Inn), 21:42
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2023/10/29 MIZ at 新宿Pit-Inn

 様々なアーティストのバックを務めつつ、自分のプロジェクト、バンドでも多々活動しているドラマー石若駿が企画するピットイン3日間6公演。回ごとに様々なバンドで出演しているよう。最終日の夜公演に参加しました。この回はMONO NO AWAREのボーカル/ギター玉置周啓とギター加藤成順によるアコースティックユニットMIZのライブで、MONO NO AWAREは見たことありますがこちらのユニットは初めて見ます。そのバックをベースMarty Holoubek、ドラム石若が務めます。この会場で賑やかなお姉様方たちが大半の客層というのは初めてです。満員。
 
 開演前と1stと2ndセットの合間には、細井徳太郎(a new little one等)がDJをしていました。会場に入った時はジャズをかけていましたが、その後は様々な曲をかけていました。Dinosaur Jr.、ポケモンの曲(だったかな?)、Jimi Hendrix(だったかな?)、Elliott Smith、宇宙ネコ子、石若のプロジェクトSONGBOOK、細井自身の曲など。曲の切り替えごとに語りを入れてて和みました。この曲は携帯のアラームにしていたことがあったとか、元彼女との思い出とか、MIZの周啓とポケモン友達でカード交換しようと持ってきたとか、物販にいろいろ売ってますよと宣伝などなど。
 
 ライブは2セットの間に20分の休憩あり、アンコール1曲含めて2時間弱でした。去年この4人で東名阪のツアーをしていたそうで、1年ぶりになるそう。MIZは音源ちらっと聞いた印象では2つのアコースティックギターで淡い重なりをする中、淡い歌声がギターに溶け込んでいくような感覚といったものでしたが、ライブは歌が音源以上に前に出てきていました。玉置がメインボーカルですが、加藤も多くでユニゾン、ハモリで歌っており3曲くらい加藤がメインボーカルを務めていました。
 
 ベース(ウッドベース)とドラムもその世界観に沿った心地良い音での重なり。曲はMONO NO AWAREと違うタイプながらところどころヘンテコポップな感覚を与えるものが出てくるのは共通します。具体的にどこ曲がってのは出てこないですが、聞いててBen Leeを思い出したりもしました。Holoubekがお気に入りという「夏のおわり」という曲は森山直太朗バリのハイトーンなボーカルを聞かせていました。1stと2ndそれぞれ一曲ずつ玉置、加藤、Holoubekの3人が口笛でメロディを奏でる場面がありましたが、それもいい感じでした。
 
 2ndセットの2曲目では加藤のリクエストにより、ドラムソロから入ります。「ヤーヤーヤー」と牧歌的に声を重ねるところはトクマルシューゴっぽいなと聞いてて思いました。割合緩めな決まりから演奏しているようで、別の曲ではフロント2人がギター弾いてからリズム隊が入っていくところ「まだ入らないんかい」と玉置が石若に突っ込んでいました。ホストは石若なので1st,2ndセットともに冒頭は石若がMCを務めるのですが、進むに連れて玉置が話しをして笑いを取っていました。以前、「プレミアMelodiX!」という番組にMONO NO AWAREが出た時の玉置の話しがめちゃくちゃおもしろかった(司会の南海キャンディーズ山里が爆笑してた)のですが、今回小話的なものはなくとも笑いは取ってました。
 
 2ndセットラストの曲は石若、Holoubekそれぞれソロを取る場面がありました。ここまで歌の世界に沿ったバッキングに徹していましたが、ここはジャズメンな暴れ方、石若が得意のオフビートを入れた怒涛の叩きぶりを聞かせていました。玉置の指示で石若はスキャットを聞かせていたりしていました。玉置はHoloubekにも歌うよう指示しますがマイクを自分と逆方向に向けて拒否、代わりに玉置が即興で歌うのですが「本当は大きな声出したい」と繰り返し歌っていて、ここまでのストイックな世界観をひっくり返して笑い取ってました。やっぱロックバンドの人ですね。

 

 アンコールはしっとりとした曲を聞かせて締めていました。MIZはアコースティックデュオとしては時折ライブしているようですが、この4人編成でもまたやりたいねという話しをしていました。「なかなかスケジュール合わない」と玉置が言ってましたが、石若が大忙しですからね。別に自分は意識して石若を追っていないのに、これで石若が関与するバンドを見るのが10組目くらいになります。熱心な石若ファンで所謂「全通」を目指す人とかいるんですかね、相当に大変そうな気がします。

 

author:de nudge, category:live(Pit-Inn), 12:30
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2023/09/30 a new little one at 新宿Pit-Inn

 新宿Pit-Innの昼の部の公演を観に行きました。ピアノのスガダイロー、ギターの細井徳太郎、ドラムの秋元修の3人組。初めて見るバンドです。スガはスガダイロートリオや他のバンドの客演などで見ています。細井は大友良英 Small Stone Ensembleで見ています。秋元は初めて拝見する方。後期DC/PRGのメンバーだったよう。全員メガネのトリオは刺激あふれる音をあちこちにばらまいていて、すごすぎと思いました。2セットで曲の世界観が全然違っていたのもおもしろい。
 
 1セット目は40分ノンストップのミニマルな曲。最初スガがSteve Reich的なシンプルなミニマルリフを弾いていきます。そこにほんのりギターとドラムが重なっていくのですが、その重ね方が攻撃的と思いました。静かな重ね方も轟音モードもかなり思い切りの良い音の出し方だなと思うこと多々。徐々にSteve Reich的世界から離れて小気味よいビート感が出てきます。ベースレスなので、スガが左手でベースパートを弾きつつ、右手で細やかなソロを弾く場面も多々ありました。ピアノのリフやソロを浮かせるごとく、ギターとドラムが小音モードになったり、ピアノの激しく弾くのを塗りつぶすかのごとく轟音モードになったりと。音自体の上下はありますが、スピードはまったく落ちずに最後まで突き抜けていました。スガの高速な指使いで弾きまくるのはこれまでも別バンドで聞いてきましたが、本当すごいものがありますね。
 
 2セット目ライブ入る前にMCをします。物販関係の宣伝中心。秋元は現在将棋にはまっているらしく、「将棋対戦する権利」を100円で売っているそう。果たして買う人は現れるんでしょうか。そもそも本当に売っていたかは不明です。細井はマイクの音を加工させていたのか、やたら高い声でしゃべっていました。2セット目は10分くらいの曲を4つやっていました。曲ごとに個性ありで、どの曲もヘンテコ感ありつつ、ジャズな要素強めで聞かせてきます。ベースパートは細井のギターが担うことが多くなっていました。局面ごとにエフェクター使って音をあれこれ変えつつ、刺激的な音を差し込みます。
 
 シンプルでかわいらしいリフをユニゾンで鳴らしていく曲、そのリフは拍子がちょこちょこと変わっていくのですが、それを息合わせながらやっていったり、外れて俺の音モードになっていったりと。「虱目魚」という曲は、スガのしっとりしたピアノリフに細井の高く加工したエフェクトボイスで「(なんとかかんとか)さかな」と歌っていく不思議な曲。しっとりとしたミニマル感はあるのですが、ギターの音と歌が不定形な描き方をしていてスリリングさもある曲でした。本編ラストは台湾の人が作った曲とおっしゃっていて、後でネットで調べたら恐らくサックス奏者謝明諺という方との共作である「Chamakana」という曲。怪しげでどこかに引き寄せられるようなピアノの音に、激しいギターとドラムが重なってきて圧倒されました。スガのピアノ音と細井のギター音はベクトルが違う激しさという感あって、それがぶつかって新たな波を起こしている様がすごいなと。波を叩きつけるあるいは更に泡立てるかのようなドラムもビビるくらいの激しさでした。
 
 アンコールの拍手を受けて、すぐにステージにメンバー戻ります。他の2人が準備できていない内にスガはピアノを弾き始めます。かわいらしいメロディでどこか懐かしい感触のあるもの。「rag time」というそのジャンルをまんまタイトルに付けた曲のようで、これまでの激しい世界から一転させた心地良い世界なのですが、そこかしこにジャンクな音は入れてきます。フリーダムに弾く(唐突にテーマ部を弾き出す)スガに合わせるの大変そうでした。秋元はこの曲では終始立ってドラムを叩いてました。

 

author:de nudge, category:live(Pit-Inn), 19:50
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2023/04/02 Azusa Yamada x Kevin McHugh x Marty Holoubek x Daniel Baeder at 新宿Pit-Inn

 この日は新宿三丁目駅近辺で昼間のライブ、そして夕方から映画館でライブビューイングに行ってきました。まずは老舗ジャズクラブPit-Innの昼間のライブ。4人組バンドnouonの山田あずさ(ヴィブラフォン)とKevin McHugh(キーボード)が、Marty Holoubek(ベース)とDaniel Baeder(ドラム)を迎えたこの日限りの特別編成のライブを見ました。みなさん日本在住のようですが、出身は日本、アメリカ、オーストラリア、ブラジルと多国籍編成で、お客さんも海外の人結構いらっしゃいました。Baederのみ初めて拝見する方で、元々シルク・ド・ソレイユのドラマーをやっていて世界を駆け巡った後、日本に移り住んでいるよう。
 
 休憩はさんでの前後半に分かれたセットで、それぞれ40分ほど、アンコール1曲といった流れでした。大半(もしかして全部かな)nouonの曲をやっていました。nouonはベースレスでキーボードがベースパートも担っていましたが、今回はベース専任者がいたので、キーボードはより多彩な音を出していた印象ありました。nouonはギターがおり時折爆発的な音を入れてくるのですが、それが今回無い代わりにHoloubekのベースソロもふんだんに組み込まれていました。
 
 「Pigeons」「Selectness」と、nouonのセカンドアルバム「Flow」に収録されている2曲からスタート。静謐さと端正さあるキーボードが主導しつつ、ヴィブラフォンとの重なりは心がシンとなるというか、居住まい正しくして聞かないとと思わされます。ドラムは序盤細やか静かに叩いて、終盤は盛り上がっていくような流れで聞かせる展開が多かったです。乗ってくるモードに入るとBaederは気合入った唸り声を出す場面がありました。みなさんジャズをバックに持っていらっしゃる方々だと思うのですが、nouonは通常のジャズよりもアンサンブル重視で、ポストロック的なアレンジ面が強い聞かせ方をします。大胆なソロなども組み込まれるのですが、それ自体も楽曲が持つイメージの枠内に収まっているような印象で演奏していました。「Selectness」の終わりは物哀しさ漂う余韻たっぷりなベースソロで締めていました。
 
 「Amor Brasileiro」ではMcHughはピアノを演奏。当たり前ではあるのですが、キーボードで聞かせる世界観とは違った聞き味。「Average」はファーストアルバム「KUU」に収録されている曲です。ファーストアルバムの時はギターがいなくてバスクラリネットが入った編成で録音されたもの。この曲はセカンドアルバムの時にギターが入って「Above Average」というタイトルで再録されています。自分は「Above Average」の方しかライブで聞いたことなかったので、今回「Average」が聞けたのうれしかったです。終盤にかけてどんどん熱量が上がっていく中、山田のヴィブラフォンソロがあり、凛々しい表情で腕を激しく上下させて叩きまくっていました。曲終わりにゼイゼイしながら話していましたが、そうなるよなという激しさでした。
 
 後半始めの3曲くらいは未音源の新曲のよう。山田とMcHughがそれぞれ持ち寄った曲で演奏します。McHughが手掛けた曲ではピアノを弾いていました。音色はもちろんメロディもキーボードで弾いていた曲とは違うタイプだなと。端正な味は共通しているのですが、キーボードで聞くスペーシーさが減じていて、クラシカルな味が増した印象でした。後半ラストはアルバム「Flow」に収録されている「Dicks」。山田がこの曲名を言うと、客席から歓声が上がります。「曲が愛されていますね。」と笑顔を見せて曲に入っていました。複雑なテーマ部を随所に入れつつ、入り組んだコンビネーションで弾く場面、激しいソロの場面などをあれこれ聞かせて締めました。
 
 アンコールは「Kebiman Kebuman」。静かでスペーシーさあるキーボードに他の楽器が控え目に音を重なる場面から始まり、小気味良いリズムが立ち上がってくると4つの楽器が息のあったやりとりをしつつ、個性たっぷりに飛翔するかのように音を舞わせていくかのように聞かせてきます。音源では爆裂ギターが終盤に入るのですが、それが無い今回は四位一体といった感じで激しく聞かせてきた印象でした。ラストピタッと終わらせる曲なのですが、ドラムだけちょいはみ出しましたかね、でもキレある音で締めていたのでかっこよいラストとなりました。またこの編成でも聞いてみたいですが、nouonのライブ自体が一回しか参加したことないので、その前にオリジナル編成をもう一度聞いて、この日の感触と比べてみたいと思いました。
  

 

author:de nudge, category:live(Pit-Inn), 22:36
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2023/01/15 Satoko Fujii Quartet、This is It!、Satoko Fujii Orchestra Tokyo at 新宿Pit-Inn

 毎年恒例、藤井郷子(ピアノ)と田村夏樹(トランペット)のご夫婦コンビが組む数多くのジャズバンドを丸一日次々と演奏するイベント。1部と2部で計6組出るイベントで、自分は3年ぶりの参加。1部の3組を見ました。50分ずつのライブ。ジャズを軸としつつ、かなりぶっ飛んだ音があれこれと聞けて楽しかったです。久々にこういった音を体感したなーと。各組の感想を書きます。
 
 

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author:de nudge, category:live(Pit-Inn), 22:41
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2022/06/16 EMERGENCY! at 新宿Pit-Inn

 8年ぶり2回目に見る、芳垣安洋のリーダーバンドであるEMERGENCY!を見に行きました。このバンド自体、3年半ぶりのライブになるそう。メンバーはドラムの芳垣安洋に、ギター大友良英、ギターCEO(「斉藤"社長"良一」から改名したそう)、ベース水谷浩章という4人編成。前回見た時はピアノのスガダイローが加わっていましたが、今回は4人のみ。
 
 2部構成でそれぞれ1時間ずつ。各曲の演奏が思ったより長引いたのか、それぞれ予定していた曲より1曲ずつ落としたよう。轟音ジャズと呼ばれたりする、怒涛のリズム隊に2つのギターがギャンギャン鳴るような展開を随所に聞かせるのですが、取り上げる曲がそれに相反するようなものがあったりするのがおもしろいバンドです。
 
 
 前半開始。ブルース調の曲をやることが多いこのバンドですが、最初にやった曲はスウィングジャズスタンダード曲の「Sing Sing Sing」。「この伴奏じゃ歌うことはできませんね。」と演奏後言っていたくらいで、最初あの有名なメロディをそれぞれ音色は違いながらワイルドさある演奏で大友とCEOが弾いていきます。終盤に向かっていくにつれてスピードアップしていき、原曲が何か分からなくなるくらいの展開で聞かせて締めました。
 
 続いてはDuke Ellington「Creole love call」。各楽器のソロを聞かせてきます。他の楽器は色を添えるようなバッキングなのですが、元のリズムから外れるようなことを随所にやってきて、よく元に戻ってこれるなーと。特にベースソロで、ドラムのバッキングが外れた時はスリリングなやりとりと思いました。この曲終わりに「ギタリストは言ってたことをすぐに忘れる」と芳垣が言ってて、大友が「俺、なんか間違えた?」と。その後の会話ついていけなかったですが、間違えたというわけではなく、ある箇所の演奏のテイストをCEOともどもやってしまったのかやらなかったのかということのよう。「次の曲はやる。この辺にJim Hallを思い浮かべておく。」と。でも次の曲はそういった演奏をやるタイプではないよう。
 
 次の曲やる前に、芳垣が最近読んだ本からDuke Ellingtonの逸話を紹介していました。EllingtonがベーシストのCharles MingusとドラマーのMax Roachと組んでレコーディングした時に、途中でMingusが帰ろうとしてしまったと。Ellingtonが呼び止めてなぜと問いただしたところ、Roachの演奏に不満があったそうな。説得してレコーディングは続けられたよう。ただ、Mingusが別のメディアで語ったところによれば、Ellingtonの用意した曲が難しくてMingusは自信を無くして帰ろうとしたそうな。真相はどっちやねん、という話しでした。
 
 そのMingusの「Fables of Faubus」を演奏します。次々変わっていく展開で、原曲後で聞きましたが、あんなキレあるリズムやギターリフをよくこうやって織り込んでくるなーという豪快なアレンジです。途中大友単独の長いソロがあり、ノイズや高音の持続音を会場中に響き渡せます。特に高音持続音が空間を埋め尽くしているかのように聞かせていたところはすごかったです。
 
 
 後半はアンコール含め1時間。最初はCharles Mingus「Oh Lord Don't Let Them Drop That Atomic Bomb On Me」を演奏します。冒頭で大友と水谷が弓弾きをして静かに音を重ねるところからスタートします。ドがつくようなブルースの曲で、ギター、ベースそれぞれ濃ゆいソロがありました。2つのギターそれぞれのソロもすごかったのですが、その後のベースソロも強烈。ギターみたいにぐわんぐわんに鳴り響くことはないのに、荒ぶっているなーという音を聞かせていました。
 
 続いてはRoland Kirk「The Inflated Tear」。静かな余韻ある大友のテーマ部演奏が冒頭にあり、そこからその音の世界観を膨らませたように、他の楽器音が重ねられていきます。物哀しい味わいに浸っていたら、続け様に別の曲につなげていたでしょうか(記憶あいまい)。大友がギターを縦から横に倒す合図を不定形に繰り返します。それを見ながら芳垣はドラムの演奏を止める、再開するをしていきます。ここもダイナミックで緊張感あるやりとり。
 
 そして4人がオフマイクで歌いだします。ぶっきらぼう、やけくそ気味に歌う4人の歌声が良い感じ、そして激しい演奏モードになり、CEOの熱いギターも、、というところでトラブル。ギターの弦が切れてしまいます。他のメンバーは激しいモードのまま即興で演奏をつないでいる間にCEOは弦の張替えをしていきます。静かな音を重ねる展開だったら、まだ楽でしょうけど、これは体力的につらそう。無事弦張り替え終わって、4人で爆発。ここのスピード、轟音はものすごいものがありました。最後は再び4人で歌って締めていました。
 
 アンコールはBurt Bacharachの「I Say A Little Prayer」を演奏します。原曲はきれいでしっとりしている曲をCEOの野性味あるギターでメロディをなぞっていきます。心地よいリズムが立ち上がってきて、段々早くなっていく展開がさわやかで曲のアウトロが延々に続いていくかのような展開が気持ちよかったです。

 

author:de nudge, category:live(Pit-Inn), 12:20
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2021/10/09 スガダイロートリオ at 新宿Pit-Inn

 前述のイベント終了後、みなとみらい駅から新宿三丁目駅までみなとみらい線で直行。新宿Pit-Innで5年ぶり3回目に見るピアノトリオであるスガダイロートリオのライブを見に来ました。このピアノトリオは5年ぶりですがスガダイロー自身は2年前のJason Moranとの共演以来。考えてみればその時が(コロナ前に)海外アーティストを見た最後になるんですね。。
 
 5年前とメンバーが変わっていて、ベースが千葉広樹(蓮沼執太フィル、等)、ドラム今泉総之輔(quasimode、等)。2セットあり前後半それぞれ50分程度、そしてアンコール1曲といった流れ。前半最初の曲は静かなメロディのもの。それでもスガならではのピアノの弦の上に細かく左右に指を走らせる聞かせ方で、確固たる味をハナから感じました。どこかで聞いたことあるメロディ、「I hope you don't mind」ってなんの歌だっけかと思ってたら曲紹介ありました。Elton Johnの「Your Song」。
 
 続いての曲はオリジナル曲のようで「Acoustic Kitty」というタイトル。なんでも1960年代のアメリカCIAがスパイ活動を行うため30億円かけて盗聴器に猫を仕込んで、ソビエト連邦大使館に送り込もうとしたら、その途中で車で轢かれて死んでしまったという。その悲劇の猫がAcoustic Kittyだそうな。序盤の上品なメロディから徐々にはみ出していくような感覚を生み出しつつ、後半波乱の展開を想起させるように突っ走っていく展開の曲。高音部分をすばやく指走らせるところで、弦の外側まで指を走らせるなんて楽しいことをやってたりしました。
 
 「海は見ていた」という曲は曇天の海辺の情景が浮かんでくるような心がシンとなる曲。前半最後にやった曲は終盤ドラムソロからバキッ、ビシッとしたピアノ、ベース、ドラムが痙攣を起こしたかのような感覚でキメキメのユニゾンで破壊的な音を出す締めでした。この曲たぶん自分が初めてスガダイロートリオを見た2015年の横濱JAZZ PROMENADEで最後にやった曲かと思いますが、この時めちゃ衝撃受けたんですよねー。また聞けてうれしかったです。「時計遊戯」という曲のよう。
 
 後半最初の曲は、新曲で「イル・マルグリット・マルガリータ」というタイトル。スガはここのところ夢日記をつけているそうで、そこでメモってあった言葉がこれだそうで、そこから曲を起こしたとか。お酒飲んですぐ寝ることが多いのでトイレ探す夢をよく見ると笑わせてから演奏に入ってましたが、静かな余韻たっぷりな音を響かせる曲でした。続いては「ドンファン」というタイトルの曲。「(先日亡くなられた)紀州のドンファンに捧げているわけではないです。」「『疑惑』という桃井かおりと岩下志麻が出ていた映画よく見ていまして。」など語ってから曲に入ってました。どこか性急な展開が入るサスペンス風な味があったのは前フリがあったからの印象ですかね。
 
 余談ですが、「疑惑」って映画はちゃんと見たことないはずですが、子供の頃テレビでたまたま見た桃井かおりと岩下志麻がお互いにワインを掛け合うシーンだけ妙に覚えていて、少しトラウマになっています。あれ怖かったなーと。
 
 続いての曲はエリック・サティの「県知事私室の壁紙」という曲。クラシックなのですが、これをジャズピアノトリオで演奏します。ベースは弓弾きでの音出し。クラシカルな響きから展開させていく曲で、最後はしつこく同じ展開を繰り返していって締める曲。繰り返し部分をメンバー笑顔でやってました。本当はもっと繰り返すそう。次はオリジナル曲。蕎麦屋へ行くのが好きで、ある蕎麦屋はすごく蕎麦自体おいしいものの、店内にディズニーの曲かかるのが少しずっこけてしまう。こんな曲を流してほしいなと作った曲だそうな。「みずなり」というタイトルで静かな立ち上がりから後半は川の水に光が跳ねる光景が浮かぶような印象を抱く高音が響くところにぐっと来ました。
 
 そして後半ラストはモーリス・ラヴェルの「ボレロ」。こちらもクラシック曲になるんですかね(バレエでよく聞く印象の曲)。3拍子で雄大なメロディを鳴らしていきながら最後は混沌とした世界をピアノトリオで表現しきってました。意外なラストでこの曲も堪能しまくりでした。
 
 アンコールはスガが何やろうかと考える中、静かにピアノを弾き始めます。このまま続くのかと思いきや、気が変わったのか唐突なモードチェンジ。静かめながら各楽器が連打しまくりに聞かせる展開になります。曲変わったのかな、、と思いきやまた始めに聞かせたメロディに戻ります。The Beatlesの「In My Life」(個人的にはBette Midlerのバージョンが染み付いてる)っぽいメロディだなと聞いていた時思ったのですが、カバーだったんでしょうか。
 
 刺激ある演奏を体感できて楽しかったです。またこういったライブを体験してみたいですね。

 

author:de nudge, category:live(Pit-Inn), 22:01
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2021/04/17 MoGoToYoYo + at 新宿Pit-Inn

 2年ぶり3回目に見るバリトンサックス/フルート/小道具、トランペット、アルトサックス/ソプラノサックスの3管に、縦ベース、ドラム/パーカッションという5人編成のバンドMoGoToYoYo。今回はnouonで見たことあるギター加藤一平が加わった6人編成です。バンド名にも「+」の表記が加わっています。
 
 通常このバンドはお休み無しで2時間近くぶっ通しで行うのですが、新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)の対策の一環ということもあるのか、途中休憩入れた2部構成にしていました。この会場は通常20時スタートなのですが、国から20時までの営業を要請されていることもあって、18時スタートに変更されて19時50分終わりと時間的に制約が付けられていることも考慮されているようです。
 
 前半は40分ほど。まずリーダーのドラム芳垣安洋が軽くMC。「いつもより早いスタートということで、化粧もせずに登場しております。」と。そういえばこのバンドはメンバーが顔にペイントしてどこかの部族のようなイメージで演奏するスタイルでしたね。パーカッションと小物の鳴り物を少しずつ重ねる演奏からスタート。そこにサックスのリズミカルな断続音が加わって、さらにトランペットも同様に重なります。ポリリズム的に聞かせておもしろい。そしてバリトンサックスの低音も加わって迫力ある世界を描きます。
 
 ジャズ的な要素が軸かと思いますが、このバンドは血湧き肉躍るというか野性味溢れるというかの音が各楽器から奏でられて高揚感満載なのが耳を惹きつけられます。ジャズマナーに沿ったリズムやソロも織り込まれますが、そこをゆらゆら耳を漂わせていると、管楽器やギターの轟音がぐわーっと押し寄せられたり、ものすごい手数のドラムをこれでもかと入れ込んできたりと油断できない展開を随所に盛り込んできます。
 
 小さな縦笛やフルートを使っての小音の展開もあるのですが、そこも野性味を感じさせるというか、どこかのジャングルや砂漠の夜的な雰囲気ありました。今回加わったコード系のギターの音が新鮮で、こじゃれたジャズな音の演出に貢献したかと思いきや、ステージ動きまくりながら爆発的なソロ取ったり。客席に出て最前のお客さんにギター持たせて弾かせるなんて荒業を繰り出したりもしていました。端正さと轟音を織り込むスタイルは一緒ながら、nouonで聞かせる音色とは一味違った印象でした。
 
 後半は50分ほど。明るいギターのリフから始まる曲でなんとカリプソ。愉快な世界が繰り広げられます。管楽器が暴れたい放題した後でテーマ部となるギターの細かなリフをここぞと入れ込んでくる演奏が大変そうでした。そしてこの後はゆったりとスケール大きく聞かせるスロー目メインな展開で聞き惚れました。管楽器隊がユニゾンできれいなメロディを奏でた後、吉田隆一が変わった形状のフルートを弓弾きベースの音のみをバックに端正なメロディをソロで静かに聞かせます。そこに芳垣のパーカッションの音が加わってから、哀愁あるトランペットのソロに移っていく展開がきれいでした。
 
 ギターやサックスのソロも織り込まれた後は、それぞれの楽器がゆったりと高らかに響かせて大団円で終了。切れ目なく演奏していたので、どの部分がどの曲ってのは分からなかったのですが、ラスト2曲は吉田が手掛けた「星図」「あなたの魂に安らぎあれ」という曲だそう。
  
 刺激的な音、リズムありつつ、きれいなメロディも織り込まれて、次が読めない展開もあって、ライブがとにかく素晴らしいバンドですが、まだ音源は出ていないようです。オリジナル曲も数多くやっているようですし、音源出してもらってそれ聞いてからまたライブ見てみたいなーと思いました。

 

author:de nudge, category:live(Pit-Inn), 10:15
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2020/01/13 藤吉、motsure、This is It! at 新宿Pit-Inn

 毎年恒例、藤井郷子(ピアノ)と田村夏樹(トランペット)のご夫婦コンビが組む数多くのジャズバンドを丸一日次々と演奏するイベント。1部と2部で計5組出るイベントで、自分は2年ぶりの参加。1部の3組を見ました。60分ずつのライブ。

 

 

 This is It!
 2年前見た時はTobiraという名義でしたが、ベース抜けて改名したよう。トランペット田村、ピアノ藤井、パーカッション井谷享志の3人組。井谷はいろいろな打楽器を持ち込んでいます。カホン、鉄琴、チャイム、ジャンベ(かな?)などなど。不定形な断続音、ブレイク、変拍子などから構成して沸き起こってくる音を楽しみました。小音でじんわり出すところでは井谷がスティックを空中でブンブン振って音を出していて、それも固唾を飲んで聞いていました。2曲目の序盤じわじわと聞かせて、終わりに向けてダークなイメージで音が広がっていって大きな音の塊になってせまってくる展開が印象的。ラストの曲は藤井節が光る複雑な拍子、メロディを超絶なユニゾンで展開して圧倒されました。
 
 
 motsure
 初めて見る琵琶の与之乃、トランペットの田村のユニット。「motsure」を命名したのは与之乃で、琵琶の弦に相当する部分を「糸」というそうですが、その糸がよくもつれるところから付けたとか。最初の曲は与之乃が平家物語の言葉にメロディを付けて歌うところから始まり、そこにじんわりとトランペット、琵琶の音が重なっていく展開で聞かせていました。その後は楽器音だけで聞かせたりする曲もあったりしましたが、いずれもじんわりモード。与之乃は元々パンクバンドをやっていたそうで、ものすごいキャリアチェンジですね。ライブの大半は音源出していない新曲でやったそうですが、最後の曲は音源出ているそう。「Fushi」という曲だそうですが、楽器使わず2人の歌声のみで。こぶし聞かせて声を響かせて穏やかな海に船で旅立つような感覚を味わいました。
 
 
 藤吉
 ラストは2年ぶり3回目に見るピアノの藤井とドラムの吉田達也のデュオ。2部は大勢のメンバーが入るライブが予定されているため、予め楽器がたくさん置かれていて、ピアノとドラムが上手と下手の両脇に離れていて2人は遠い位置。遠いねーとお互い手を振るほんわりとしたやりとりから、ライブ始まると一点激しいピアノとドラムのものすごい早く複雑なユニゾンをドカドカと入れてきます。一体どんなリズム感覚でやっているんだろうとこの2人の演奏聞く度に思うのですが、ひょうひょうとやってるんですよねー。また複雑な展開なのに不思議と印象に残るテーマが時折はさまれるのも印象的。

 

 また、演奏だけでなくオペラちっくな声も存分に入れてきます。ミュージカルにも出れるんじゃないかという大仰な歌声を出す吉田ですが、この日は妖精みたいな穏やかさを感じさせる声を出す場面もありました。15年ぶりにアルバムを出したそうで(会場で買いました)「Baikamo」というタイトル。「梅花藻」と書くそうで琵琶湖にいる水中花だそうな。ここからの曲を立て続けにやってたんですかね。エフェクト的な音加工の処理は一切していないと思われますが、曲面によっては奥行きのある立体的な音で聞かせる場面もありました。

 

author:de nudge, category:live(Pit-Inn), 12:17
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2019/06/05 Vincent Atmicus at 新宿Pit-Inn

 4日間連続でピットインで開催されている、様々な音楽を手掛ける芳垣安洋主催のライブ2日目に参加しました。MCでは9年ぶりと言ってましたが、自分は6年前に見ているので恐らくそれ以来と思われる久々のVincent Atmicus。メンバーは、ドラム/パーカッション×2、エレクトリックバイオリン×2、サックス/フルート、トロンボーン、トロンボーン/ベース/鍵盤ハーモニカ、ベース、バイブラフォンという特異な9人編成。サックス/フルートの後関好宏は今回初参加。満員、立ち見も出る盛況っぷりでした。
 
 4曲ずつの2セット、アンコールが1曲と全9曲ですが計3時間近く(休憩はありましたが)と大ボリューム。民族音楽要素をふんだんに取り入れたミニマルなリズム、メロディを軸にジャズらしい即興やアンサンブルをこれでもかと聞かせてきて、久々に味わえてうれしい。難しい曲が多いということでうまくいくかどうか、、と毎曲心配しているMCにもある通り、複雑なリズムや込み入ったアレンジ多いなーという印象。
 
 1stセット1曲目の「Mbir-Va」は芳垣が率いる別バンド(MoGoToYoYo、On the Mountain)でも演奏している曲で、久々にオリジナルバンドでやるとまた違った感興があると。時折はさみこまれるベースソロをブレイク部分として、序盤じんわり雄大に聞かせつつ、終盤にその雄大さを維持したまま怒涛の展開になだれ込んでいきます。
 
 3曲目の「大建設」はこのバンドに入りたいと言ってきたけどコード系楽器はお断りということで加入できなかったというギター鬼怒無月が作ったものだそう。鬼怒無月のバンドでやらなくなったので、私達でやりますという。愉快さあるテーマ部を軸に即興もたっぷりと。半分にチームを分けて即興演奏する場面があって、上手チーム(ドラム芳垣、バイブラフォン高良久美子、バイオリン勝井祐二、ベース水谷浩章、サックス後関)と下手チーム(ドラム岡部洋一、トロンボーン松本治、ベース青木タイセイ、バイオリン太田惠資)が交互にそれぞれドラムが主導して様々な音楽を短い時間でうわーっとやっていきます。青木タイセイは他の曲ではトロンボーンと鍵盤ハーモニカ担当でしたが、ここの場面はベースに専念していて2バンドの交互演奏といった感ありました。太田はバイオリンのみならず時々マイクやスピーカー通して歌ったりするのですが、他の楽器が一斉に止まって「ひとりにしないでー」と歌った場面は笑いが起きてました。
 
 1stセットラストはアフロビートを取り入れた「Eatborafa」(曲名がafro beatのアナグラム的なもの)。個人的にVincent Atmicusといえばこの曲といいたくなるくらい好きな曲でルーズ目のあるかっこよいベースリフに、アフロな感覚がこれでもかと押し寄せてくる曲で、毎度浮かれて聞いちゃいますね(といっても座ってじっと聞いているだけですが)。
 
 2ndセット最初の曲は太田の短いバイオリンソロから始まる「くつわむし」。かわいらしさというかユニークさあるテーマのメロディで親しみやすさ満点。2曲目の「魚鳥とフンデルトヴァッサーハウス」という曲はたぶん自分は初めて聞きます。中盤織り込まれる太田と勝井それぞれのソロも堪能。エレクトリックバイオリンで音をエフェクターで加工させながら演奏するのですが、これバイオリンから出る音?ってなくらいの変形された音がバイオリンから出ていてすごいなと思ったり。太田はスピーカーで「練馬ナンバー脇見運転止まれ」という謎のフレーズを繰り返して笑い取ってました。
 
 3曲目の「Parade」はMCからすると最も難易度高そうな曲(音源では「Parade Part1」「Parade Part2」と別れて収録されてます)。細かいミニマルなリズムを軸にいろいろな組み合わせで音を奏でていきます。途中勝井はトラブルあったのか別のバイオリンに急遽持ち替えてソロを弾いてました。決めのテーマの切れ具合がすごく、これでビシッとラストも締めるところで拍手喝さい。ラストの「道化師のレクイエムとメリーゴーランド」は、ちょい枯れた感じとかわいらしさのあるメロディに、きれいな各楽器の音が堪能できる曲でした。
 
 アンコールは「それほど難しくない」曲だそうで、「Colombian March」という曲を。この曲作ったのは青木で彼がオルケスタ・デ・ラ・ルス在籍時に南米ツアー行って、現地でトラックの上(だったかな?)で演奏するマーチングバンドにインスパイアされて作った曲とのこと。愉快なマーチングなリズムを軸に展開するのですが、序盤強烈なロックなベースの弾きっぷりにびっくり。落ち着いた風情で演奏する水谷があれだけ激しくロックな感じで弾くの見るの初めてと思いました。余談ですが、オルケスタ・デ・ラ・ルスは紅白歌合戦にも出たことあるそうで、「男性メンバーだらけなのにボーカルが女性ということで紅組だった」そうな。
 
 アンコールはじんわり聞かせる「屋上の飛行機凧」で締めると思ってたので、賑やかに締めたの意外でした。「屋上の飛行機凧」のメロディ好きでまた次の機会のライブで聞いてみたいです。
 

author:de nudge, category:live(Pit-Inn), 10:03
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