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2018/06/08 MoGoToYoYo at 新宿Pit-Inn

 4日間連続でピットインで開催されている、様々な音楽を手掛ける芳垣安洋主催のライブ3日目に参加しました。この回は初めて見るMoGoToYoYoというバリトンサックス/フルート、トランペット/フリューゲルホルン、アルトサックス/ソプラノサックスの3管に、縦ベース、ドラムという5人編成。民族音楽を種々入れてのジャズってな印象のライブでしたが、これは感激しまくり。初見のバンドでここまでおおーっと来た感があるのは久々な、ものすごくおもしろいライブでした。休憩なしアンコールなしで2時間15分、ぶっ通しでやったのもすごすぎでした。
 
 5人は各自小さい鳴り物を振りながら入場。全員顔にはペイントを施しています。服装もラフな感じなのですが、一人だけ違う世界観。バリトンサックス/フルートの吉田隆一(N/Y、板橋文夫、藤井郷子の各オーケストラなど)は黒のジャケットに黒のサングラスといった格好なので違和感が。さながらJリーグ開始直後当時の盛り上がりで顔にペイントしていたお客さんがたくさんいたのですが、それにどこかの業界人が乗っかって顔にペイントして見に来ましたみたいな風情。ステージ後ろにはMoGoToYoYoと書かれた大きな布もぶら下げられていて、どこかの部族の演奏ってな雰囲気が。
 
 管楽器隊の周りにも金物などの打楽器がちょこちょこと置かれていて、それを鳴らしていきます。どこかの部族のような声出しも各自やりながら、ベースラインが入ってきたところで本格的に曲に入っていきます。2ヶ月前に亡くなったジャズピアニストCecil Taylorに捧げると事前にアナウンスがあったので、彼の曲のテーマを入れているのでしょうか。全然知らないので恐らくですがテーマ部はそれなりにメロディを管楽器隊がなぞりつつ、ソロなどの部分は完全にオリジナルと思われます。あと、もしかすると芳垣の別バンドVincent Atmicusの曲もやってましたかね。次々と変わっていくリズム、へんてこな声出しや小物使っての音出し、吉田は小さい縦笛なんかも使ってかわいらしい音出したり、トランペット/フリューゲルホルンの有本羅人(初めて拝見する方)はトランペット2つ同時吹きなんかしたり、サックスの元晴(MORE THE MAN、元SOIL & "PIMP" SESSIONS)はステージ前方におもむろに歩いて何するかと思いきや扇風機に向かって吹いたりと、フリーキーな振る舞いを各々見せ聞かせます。
 
 縦ベースの岩見継吾(OncenthTrio、元ミドリ)は恐らくミドリのライブ見て以来久々に拝見する方となるのですが、ミドリのロックなモードとは全然違う印象のプレイぶり。あれこれと声を出しながら、いろいろなリフを入れ込み芳垣の多彩なドラムとがっつり噛み合います。弓弾きや弦をはじくように弾いたりとベースの音だけでもいろいろなおもしろさが。そして芳垣が出すドラムは毎度ながらものすごく、あれやこれやといろんなリズムを出してきます。ちょい意外だったのは民族音楽的な趣向をしていながらアフロビートは出していなかったような。ヒップホップやレゲエなんかの場面はありました。レゲエなリズムではスネアをびしっと叩いた後に細かに少音で叩いて、人力ダブ的な聞かせ方をしていたのもおもしろかったです。
 
 前半は部族的なヘンテコな声出しをそこかしこに入れてニヤニヤする場面が多かったのですが、後半はコアになってきて息を飲むような場面がそこかしこに。後半はジャズ要素強めでしたでしょうか。ラストはかすれるような3つの管楽器が鳴らす音を長めにやって情緒的なモードになり、そこのモードを継承しつつ軽快ながらも激しい展開につなげて終了しました。もう圧巻でした。
 
 達人たちが真正面からヘンテコなことをやるとおもしろいのと同時にかっこよいなと。枯れた味わいなんかもそこかしこに折り込みつつ、全般的には各楽器が出す音や次々変わっていく展開に圧倒されまくりで、時にはノリノリで聞けたりとおもしろい要素てんこ盛りでした。次は秋くらいにやるかも、とアナウンスしていましたが、このライブはまた見たいですね。

 

 

author:de nudge, category:live(Pit-Inn), 08:52
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2017/12/27 大友良英 NEW JAZZ QUINTET at 新宿Pit-Inn

 4日間連続でピットインで開催されている、様々な音楽を手掛ける大友良英主催のライブ2日目の夜の部に参加しました。この回は大友良英が率いるジャズクインテット。クインテットから人数増やしていったアンサンブルやオーケストラ名義では昔何回かライブ見たことありますが、クインテット名義は10年前に1回見ただけでした。バンドとしても久々のライブのようで、今回再始動と銘打ったようです。
 
 メンバーは不動のギター大友、縦ベース水谷浩章、ドラム芳垣安洋に加えて、新メンバーとしてトランペット類家心平とトロンボーンの今込治が加わります。類家と今込のお二方は、もしかすると大友良英が率いるビックバンドなどのメンバーとして見たことあるのかもしれませんが、プレイヤーとして意識して見るのは初めてな方達です。
 
 前半1時間、休憩はさんで後半45分、アンコール10分といった構成。オリジナルやスタンダートのジャズナンバーを交えたセット。もう圧倒されまくりの時間でした。めちゃくちゃかっこよい尖った音をこれでもかと味わいまくりでした。最初の「Flutter」というオリジナル曲からおおーすごいなーと。激しいジャズなリズムにノイズや開放感ある陽性なギターの音がギャンギャン鳴る中、緩急自在の管楽器が響いていく様が聞いていて快感。
 
 カバーは曲紹介されていたコメントからすると、Wayne Shorter「Sweet Pea」、Brigitte Fontaine「Comme a la radio」、Ornette Coleman「Broken Shadows」、Eric Dolphy「Serene」など。オリジナルを知らないのでたぶんですが、テーマ部のフレーズは使いつつアレンジやソロはかけ離れた世界だったのではないでしょうか。「Sweet Pea」の中盤かすれたようなトランペットの音で味わい深く聞かせるところから、バンっと世界観変わるようなアレンジになる展開などゾクゾク。
 
 アルバム「Tails Out」に収録されている1,2曲目である、Charlie Hadenの「Song For Che」からオリジナルの「Reducing Agent」へ連続して演奏するのも後半最初のセットで披露。音源として聞いていてもすごいとなれるのですが、生で聞いて改めてすごいなと。高らかに鳴る2つの管楽器に、断続的にじわじわとしたギター、ベース、ドラムの音がからんでいく「Song For Che」から間髪おかずにドカスカとキレ良いドラムが入ってきて、その中を切れ込んでいくようにノイジーなギターが入っていく「Reducing Agent」へつなげていく流れはロック的なダイナミズムあふれていて聞いていて快感。
 
 アンコールでは長めのMCを。当初この名義でのライブでやることは他のメンバーは知らなかったらしく、大友から「この日のスケジュール空いてる?じゃあよろしく。」と連絡来て、承諾した後、後日ピットインのスケジュール見たら再始動って書いてあったそうな。大友はイベントのキュレーターなどを務める仕事が一段落して、一人のプレイヤーとしてこのライブに臨めるのが楽しかったようで、「ピットインのスタッフさん、後でスケジュールの相談をー」と、新しい編成のこのクインテットのライブをまたやりたいようです。「もしまたやる時にメンバー替わっていたら、そのメンバーは今回の突如の招集に不満を持った人です。」などとジョークを。

 

 このバンドが前やったのがいつだったかという話になり、「たぶん10年くらい前にポルトガルでやった時以来?その時、芳垣さんがやんちゃで、ドラム叩くの激しすぎて最後バンっと叩いた瞬間に眼鏡が上にポーンと飛びあがった。日本的な笑いのパターンからすると、そこからやすきよばりに『めがね、めがね』と探すところまでやって欲しかったけど、そんなこと知らないポルトガルのスタッフさんがすぐ拾って差し出してくれた。」と。その様を見ていたPaal Nilssen-Love(The Thingのドラマー)が、「今の眼鏡が飛び上がる技、どうやってやるんだ?」と聞いてきたとか。

 

author:de nudge, category:live(Pit-Inn), 08:31
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2017/01/09 Satoko Fujii Quartet、Toh-Kichi藤吉、Tobira-one at 新宿Pit-Inn

 藤井郷子(ピアノ)と田村夏樹(トランペット)のご夫婦コンビが組む数多くのジャズバンドを丸一日次々と演奏するイベント。1部と2部で計5組出るイベントで、自分は2部の3組を見ました。1部から見たかったのですが、体調すぐれず長丁場持たないと踏んで2部からの参加にしました。
 
 Tobira-one
 藤井、田村、ドラムの井谷享志の3人バンド。本来は「Tobira」というバンドでベースTodd Nicholsonがいるそうなのですが、現在ニューヨークに移住してしまったそうで、今回はマイナス一の編成とのこと。2年前に「Satoko Fujii New Trio + One」という名前で一回ライブ見ていますね。5曲で1時間10分ほど。1曲目はピアノとドラムのデュオ。井谷は最初ドラムを使わず小道具でピアノのメロディにユニゾンで合わせます。藤井が手掛ける曲は複雑な曲構成、フレーズを軸としつつ、遊び心ある即興も随所に取り入れています。2曲目だったか3曲目だったかで、井谷はおもちゃみたいな鳴り物やピュルルーと鳴る笛なんかを使って音を出して、それに田村がトランペットで呼応したと思いきや置いて、両手を組んで中に息を吹いて音を作ったりしてデュオの音出しをしたり。藤井の低音のドローンからスピードある3者が爆走する展開なんかもあってスリル満点。
 
 
 Toh-Kichi藤吉
 藤井とドラム吉田達也のデュオで1年半ぶり2回目に見ます。ノンストップで40分ほど。前回は即興でしたが、今回は即興の場面もありつつ恐らく以前出したアルバムの曲を主軸に演奏していました。複雑なフレーズをピアノとドラムでユニゾンで演奏していく様は圧倒的。超絶さを味わいつつ、両者がオペラちっくな声を出してユニークな面を入れたりと。この日は吉田の誕生日だそうで、お祝いのコメントもあったりしました。
 
 
 Satoko Fujii Quartet
 藤井、田村、吉田にベース早川岳晴が加わった4人組の藤井郷子カルテット。アンコール含め6曲で1時間10分ほど。去年再結成をしたバンドで10年前によく見ていたジャズロックバンド。今まで見ていた時と場位置が変わっていて、ステージ中央前方にいた田村が上手前方に移り、ステージ中央後方にいた早川が前に出て来る体型に。その見た目のせいなのか、音出しのスタイルを変えたのかやたらめったらベース音が目立っていました。単純な音のでかさもそうですが、ブリブリに弾きまくるソロも存分に組み込まれます。吉田の強烈なドラム音と合わさって怒涛とも呼べるリズム隊に、力強いトランペットとピアノ音が加わって聞く曲はこれまでと少し聞き味の違いもありつつ楽しい。
 
 1stアルバム「Vulcan」に収録されている「The Sun in a Moonlight Night」からスタート。吉田のおどろおどろしい声のソロから始まる曲で、これだけで普通のジャズバンドじゃない加減が味わえます。この曲を弾いている最中に藤井は足がつったとのこと。ここまで何時間も演奏続けていたと思われるので、体力的にも大変そう。続いての「FLYING TO THE SOUTH」はスロー目なリズムにキレイなフレーズが乗っかるすごく好きな曲で、導入部となる最初のピアノソロが即興なのですが、そのきれいなメロディも良い感じ。今回は澄んだ感覚が味わえるものでした。「Tatsu Take」は田村が手掛けた曲だそうで、リズム隊の名前から曲名をつけておりベースとドラムのみで長尺に演奏するのが盛り込まれる曲。「どうして俺の名前が後なんだー」と早川がぼやいていましたが、この日他にもいくつかぼやいていてお客の笑いを取っていました。
 
 「An Alligator In Your Wallet」はものすごい複雑なフレーズを4者がユニゾンで入る曲で、早川は「ちょっと練習」と藤井がMCしている間に練習していました。この曲が収録されているアルバム「Angelona」を出した頃にオーストリアのフェスに出たそうで、その時にNels Cine Singers(WilcoのギタリストNels Clineが組むバンドで1年半前にライブ見たことあります)も出ていて、そのドラマーであるScott Amendolaが藤井郷子カルテットのライブを見て感激して声を掛けてくれたそうで、それが縁でRova :: Orkestrovaというオーケストラに参加してもらって「An Alligator In Your Wallet」も演奏したそう。「Scottはものすごいグルーヴを出すドラマーだけど、ユニゾンで音を叩くのは苦手みたいで最初苦労していた。吉田さんみたいにはいかない。」と。吉田の恐ろしい手数というか、ピアノのフレーズなどにばしっと合わせるのは相当すごいんでしょうね。
 
 1部に出演していたSatoko Fujii Orchestra Tokyoのメンバーであるサックス奏者の木村昌哉が病気にかかっていて闘病中とのこと。この日売っているCDの売り上げを寄付するとのことで、ささやかですが1枚買いました。前述のお話を受けて、Rova :: OrkestrovaのCDを買いました。

 

author:de nudge, category:live(Pit-Inn), 22:49
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2016/07/31 藤井郷子カルテット at 新宿Pit-Inn

 ピアノ藤井郷子、トランペット田村夏樹、ベース早川岳晴、ドラム吉田達也の4人組ジャズロックバンド。久々となります。再結成という位置づけらしく8年ぶりのライブになるとか。自分が見るのは恐らく10年ぶり。過去出した5枚のアルバム全部持っていて、特に「Zephyros」が好きでよく聞いてました。久々に見れるライブを楽しみにしていました。

 

 2部構成で20分ほどの休憩やアンコール含めて2時間半近いライブは過去曲を万遍なくやった印象でした。聞いていてうれしくなる瞬間が多々。最初の曲は吉田のダミ声とオペラチックな声が交差するような声出しから始まり、そこに田村と早川も声をかぶせてきます。田村と早川がこのバンドで声出すって聞いたことないような。そこから各楽器音が加わっていくのですが、相当入り組んだテーマ部やソロなんかも交えてくる迫力ある展開。2曲目にやった「Flying to South」。冒頭部分は藤井がピアノの内部を使っての音出しからスタート。その奥行きある響きを聞かせてから情緒的なメロディを弾き始めます。テーマ部続いた後は中盤のベースとドラムの強力でタイトなリズムを軸に、4つの楽器音がからみにからむ展開でピークに行って、元のテーマ部に戻るってな構成が素晴らしいです。

 

 複雑怪奇なアンサンブルの中からきれいなフレーズが立ち上げて来る瞬間にぐっと来る曲が多いのですが、「Ninepin」なんかも湧き上がってくると言いたくなる細やかなピアノフレーズがすごく良いなーと思えます。圧が強いとも言えるベースとドラムに拮抗するようなピアノとトランペット音も強烈な印象を残す場面も多々あり、聞いていておもしろいなーと。2部始めの曲となる「Tatsu Take」は各楽器音が断続的なフレーズを繰り出すところから始める曲なのですが、この日は全員声でそれを再現します。「タ!」「タ、ツカ!」と楽器音を声で再現するのがおもしろい。この曲後半部でも声のみアンサンブルをやっていました。「Clear Sky」は軽快なフレーズでありながら複雑なリズムを繰り返しやりつつ、時にブレイクを挟む曲で気持ち良さと緊張感が同居する曲で最初聞いた時はびっくりしました。かなり好きな曲。

 

 「The Future of the Past」はたぶん自分が初めて藤井郷子カルテットのライブ(秋葉原CLUB GOODMANで)を見た時の最初にやった曲で、最初はトランペット抜きのピアノトリオで重さと疾走感あるリズムを長尺でやってからトランペットが入る構成にかっこよいなーと思った記憶が。本編最後にやった曲とアンコールでやった曲は冒頭で拍子の話題になり、複雑な拍子に早川が「普通の4拍子が懐かしい」と少々ぐちも。アンコールの曲は「(4分の)20、20、20、30、27…。まあ最初の方は簡単ですね。」とさらっと藤井が言っていましたが、まー複雑ですね。アンコールはしっとりとした曲を持ってくることが多い印象でしたが、この日は最後までバンドの持ち味である複雑で重くスリリングな曲で締めてました。

 

 おまけの話です。
 

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author:de nudge, category:live(Pit-Inn), 10:16
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2015/06/24 藤吉、田村夏樹・加藤崇之・藤井郷子・井谷享志 at 新宿Pit-Inn
 ドイツに在住しているピアニスト藤井郷子がピットインで行うライブ3日間の2日目に行きました。この日は2組のセッション。会場入ると旧譜のCDが置いてあり、1枚好きなものを持って行って良いとの大判ふるまい。

 最初はドラム吉田達也とのバンド藤吉。4人編成である藤井郷子カルテットは何回か見たことありますが、ピアノとドラムの2人編成でのこのバンドは初めてです。アルバム「Toh-Kichi」は音源持っているのである程度どんな世界かは知っていましたが、生の体験は強烈でした。藤井はピアノとシンセサイザーを使います。初めピアノ内部にひもを垂らして両端を持ってギコギコと弾く音出しからスタート。吉田もそれに合わせるじんわりとした叩き方をしますが、次第に両者激しい音をこれでもかと入れてきます。完全即興らしいですが、とてもそうとは思えないほど早いリズムでの展開、怒涛の変拍子ががっつり噛み合います。ともにボーカルも加える画面があるのですが、高音で叫ぶようなものが多い。特に吉田はオペラ歌手かというくらいの声の響きで、そんな大仰な歌い方しながら激しいドラムを叩いたりするのがすごいです。藤井が使うシンセサイザーはテクノっぽい音色や持続音などを聞かせるもので、複雑怪奇なピアノでのフレーズとは異なる味を加えていました。

 続いてピアノ藤井、トランペット田村夏樹、ギター加藤崇之、ドラム井谷享志という4人のセッション。こちらはいかにもな即興のセッションなのですが、各自がまあやりたい放題な感じの演奏で、藤吉とは別のおもしろさがありました。何せ序盤の10分ほどは誰も担当楽器をまともに演奏していないという。。加藤はお寺で使うような小型金物を叩き、井谷はサンダルをすりすりとこすり合う音出しから始まり、ほおを叩いて音鳴らしたり、たらいをメインに叩いたりこすったり、水を注いだりとドラムセットには一切つかず。ステージの中央前方に座ってストイックに音を鳴らします。それをしばらく見ていた藤井と田村も音を加え始めます。田村もトランペットを持たず、おもちゃの小物を使って音を鳴らしたり、両手を組んでそこに息を吹きかけてトランペット的な音を出したり。藤井はピアノを弾きますが、ピアノっぽい音でなくガムランっぽい音になっていたような(どうやって出しているんでしょう)。さながらその全体としての音は「東南アジアの様々な動物がいるジャングルに囲まれたお寺の光景」といった印象を持ちました。

 中盤からは担当楽器も演奏するようになります。加藤は手元にエフェクターを置き自在にギターの音色を変えます。これが強烈なダブっぽいエフェクトがかったものやノイズなものなどいろいろと聞かせます。ギターも叩いてならしたりと破天荒っぷりな弾き方。井谷は子供用のドラムセットを用意して、それを複雑なリズムで叩いたり、タムやシンバルをこすったりといろんな鳴らし方をしていました。30分ほどのセッションは強烈な印象を残して終了。

 そして吉田も加わっての10分ちょいのセッションに突入します。ここが一番やかましい音になりました。演奏前にMCでその前のセッションで使った道具を紹介していて藤井が「こんなブーブー鳴る豚を加藤さんや田村さん使ってたんですよー。」とビニールでできていて握るとブーとなる小さい豚のおもちゃを鳴らすと、加藤と田村も色違いの同じ豚を使って鳴らします。そこに呼応して井谷と吉田が「ブヒブヒ、フガフガ」と声で豚の泣きまねをするという。。そこで会場から笑いも起きつつ、なんとその流れで演奏が始まります。ブタの音が行きかう中で他の楽器音が加わるというカオスな展開。そしてドカドカとなるツインドラムに太いトランペット音、ジャンクなギターと、自分がピットインで聞いてきた音としては最大な音量な演奏だったような。そして徐々に演奏が落ち着いてきたところに再び「ブーブー」と小物を鳴らして終了。

 アンコールは藤井、田村の別バンドGato Libreやma-doのメンバーであった是安則克が亡くなった時に作ったという曲を藤井がピアノソロで弾きました。からっとした明るさがありつつ人を悼む、送るような印象のある曲でした。Gato Libreはもう一人のメンバー津村和彦も先日亡くなられたそうです。翌日のライブはその追悼ライブになるそう。
 
author:de nudge, category:live(Pit-Inn), 20:55
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2014/05/28 Satoko Fujii New Trio + One at 新宿Pit-Inn
 現在はドイツに在住しているピアニスト藤井郷子率いるジャズバンド。これまでたくさんの形態で見ている藤井郷子のバンドですが、こちらの編成は初めて。ウッドベースはTodd Nicholson、ドラムは井谷享志とともに初めて拝見するメンバー。半分くらいの曲で参加するトランペット田村夏樹はお馴染み。

 休憩30分はさんでの2セット、アンコール含めて2時間半近く。どの曲もソロと複雑なテーマが交差する展開が多いですが、1セット目はわりかし端正さが漂うもの、2セット目はバラエティ豊かで激しい局面が多いものといった感じでした。印象に残っているところをいくつか。

 1セットは4曲。1曲目はソロ+複雑なテーマなのですが、冒頭の藤井のロングトーンと比較的ゆったりした弾き味でのソロはめずらしい印象。ドラム井谷はセットがシンバルもお腹辺りで全て打ち下ろすような叩き方に。かなり変わったことをやっていて、片手に4本ずつスティック持って叩いている場面なんかも。Todd Nicholsonも弓でドローンな音出ししたり、指で擦るような弾き方をしたりといろいろ。

 1セット3曲目から田村夏樹が加わります。トランペットの他に、テーブルに音が出るおもちゃをたくさん並べていて、それを鳴らすことも多かったです。3曲目か4曲目では強力なブレスを使いつつトランペットを鳴らして、かつトランペットを振り回しをして合図出しして他メンバーの音をコントロール。ストップアンドゴーみたいな展開がかっこ良い。

 2セットは5曲。1曲目は藤井が「後半からメタルになっています。メンバーはこんなのメタルじゃないって言ってますが。」と。後半ピアノ、ベース、ドラムで恐ろしく低い音で早い怒涛のリズムが鳴らされる展開が恐らくそうかと思います。ジャズバンドでは確かに聞けない音ですが、メタルでは無いような。それからTodd Nicholsonが生声でデスメタルっぽい叫び(でもさわやかに聞こえる)や、井谷がスピーカーで何か叫んだりとそれっぽい要素はそこかしこにあって、ジャズバンドではなかなか味わえない展開でおもしろかったです。

 2曲目は「今日で一番難しいかも。あ、でもアンコールがあったら、そこでやる曲の方が難しい。」と。その言葉通り複雑な極まる展開で、恐ろしいほどの手数で乱れうちされるドラムにピアノとベースでの高速ユニゾンなんてところは凄すぎるなーと。曲終わりに「あまりに難し過ぎて、作曲者である自分が音の入り方間違えちゃいました。」なんて発言も。ここまでやった曲はまだ音源化されていない曲で、これからレコーディングしていくよう。ここからの3曲は既に音源化されているものばかりだそうで、「安心してできますね。」と。

 4曲目は4人の中から2人ずつが音と肉声でバトルし合うような展開の曲でおもしろかったです。ここまで全員がヘンテコな声を出しあうジャズバンドも初めて。そんなほんわかしたようなやり取りに見えて出す音は複雑なのもすごい。ドラム井谷は奇妙さ満載で、冒頭ジャンプして音出したり、ほほを叩いたり、壁叩いたりとドラム関係無い音出しや、サンダルでドラム叩いたり、スティックをひたすらスネアに落として鳴らしたりとやりたい放題。といって、テーマ部では端正さ溢れるものやかっこ良いリズムをこれでもかと叩いたりと、世の中にはすごい音楽家がたくさんいるなーと。

 アンコールの曲は予告通りのものすごく速い曲。どの曲もテーマ部分は藤井節が効いているといったもので、そのメロディは好きですね。遊び心ありつつ、複雑なテーマをユニゾンでしかも随所にブレイク入れたりと緊張感もあってと、かっこ良い演奏を堪能しました。
 
author:de nudge, category:live(Pit-Inn), 22:21
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2014/05/05 EMERGENCY! at 新宿Pit-Inn
 昼間見た前述のライブ終わって、中野から新宿へ移動。Orquesta LibreやVincent Atmicus等、様々なバンドを率いている「ジャズ界のシーラカンス(ライブ中のMCより)」こと芳垣安洋のリーダーバンドであるEMERGENCY!を見に行きました。EMERGENCY!を見るのは初めてですが、ベース奏者が違う(船戸博史)Multikultiは6年ほど前に見たことありますね。

 メンバーはドラムの芳垣安洋に、ギター大友良英、ギター斉藤良一、ベース水谷浩章という4人編成。この日はさらにピアノでスガダイローがゲストとして加わります。ゲストといっても、最初から最後まで全面的に参加。とんでもない速弾きみせたり、他メンバーとのアイコンタクトで展開切り替えたりと、がっつりバンド内に入り込んでのパフォーマンス。

 2セット+アンコールで途中30分ほどの休憩含め3時間近く。1セット目はCharles Mingusの曲2つ、Roland Kirkの曲1つ、Jelly Rollの曲1つと、「Mingus周辺で固めました」という4曲。1曲目のMingusの曲は(曲名不明ですみません)、パラパラとしたギター×2、ピアノの立ち上がりからベース音入ったところでスイッチ入って激しい展開に、ブルース要素多々あるそうで。ギター2人は基本座って演奏するのですが、斉藤が立ち上がって弾くところでブレイクが入るような形になって、かっこ良い。原曲がどれくらいかは分からないのですが、ギター音とピアノ音がギャンギャン言っていました。1曲目終わりの芳垣のMCで「1曲目からこんな飛ばして大丈夫?大友さん腰痛めてるんじゃなかったっけ?」と。座っていながらも腰を浮かして激しく演奏する大友の姿見る限り、大丈夫そう(翌日来るかもですが)でした。

 1曲ごとに軽くMCを挟むのですが、時折次やる曲の紹介もありまして、興味深かったです。残念ながら自分はジャズに関する知識皆無なので、アーチスト名や曲名聞いてもピンと来ないものもあるのですが、エピソードはおもしろく聞けましたね。特に盲目のサックス奏者Roland KirkのライブDVDの話(ちょいと書くのに憚れる場面もある)はカオスっぷりが想像できておもしろかったです。

 2セット目はバラエティ豊かな3曲で、1曲目がスウィングジャズスタンダード曲の「Sing Sing Sing」、2曲目がDuke Ellingtonの(たぶん)「Creole Love Call」という曲。3曲目がCharles Mingusの(たぶん)「Fables of Faubus」でした。「Sing Sing Sing」は自分でも知っている有名曲ですが、オリジナルからかなり解体した展開になっていました。通常のジャズバンドはあまり取り上げないそうで、スガダイローは「初めてやった」そう。2、3曲目もピアノやギターのソロやブラシを使ったドラムのこじゃれた感じなどを挟みつつ、テーマ部はかなり荒々しい感じもあり、男気満載でしたね。

 アンコールの曲は各楽器からほんのりとした音が出されて、静かに展開される小曲でした。これまでの激しい展開から良い締めでした。なかなか頻繁に活動するのは難しいバンドのようですが、機会あればまた聞いてみたいです。
 
author:de nudge, category:live(Pit-Inn), 20:19
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2013/06/28 Vincent Atmicus at 新宿Pit-Inn
 ROVOやOrquesta Libre等、様々なバンドに参加するドラマー芳垣安洋のリーダーバンドVincent Atmicus。こちらのバンドはここ数年はたまにしかライブやっておらず2年ぶりとか。自分が見るのは3年ぶり4回目になります。芳垣安洋は多種のバンドで精力的に活動されていて、新宿Pit-Innで異なる形態のバンドを4日連続で演奏するという。その3日目になります。

 メンバーはドラム×2、エレクトリックバイオリン×2、トロンボーン×2、ベース、バイブラフォンという特異な編成。トロンボーンの一人青木タイセイは曲によりフルートやピアニカも担当。また前回見た時と同様にベースの水谷浩章はエレクトリックベースを使用(それまではアップライトベースだった)。

 メンバー登場。バイブラフォンの高良久美子が忘れ物(スティック)してしまったということで一回引っ込みます。その間芳垣安洋がMCでつなぎます。メンバーの一部がいまやっているNHKの朝ドラマ「あまちゃん」の音楽制作に関与していて、トロンボーン松本治とベース水谷浩章はなんとドラマ自体に出演予定があるとか。ドラム岡部洋一はでかい文字で「栄養不足」と書かれたTシャツを着てきたり(体型からして栄養不足では明らかにない…)していることが触れられます。また、昼間リハーサルやったがひさびさということで「こんなに難しい曲ばっかりやってたんだなー、うまくできるかしら」と。

 過去3枚アルバム出していますが、そこから万遍なくのセット。休憩はさんでの2セット、アンコールありで2時間半堪能しまくり。異国情緒のある多彩なリズム、フレーズを盛り込んだがっつりとしたアンサンブルで聞かせるバンドでどの曲もいいですねー。やった曲で覚えているのは、「Mbir-Va」「Eatborfa」「くつわむし」「道化師のレクイエムとメリーゴーランド」「Oferere/Azoth」「Parade Part1」「Parade Part2」「大建設」「Mugi Dance」あたり。「くつわむし」については、メンバー間で「曲好きなんだけどなー、タイトルがいまいちかも。みんな知ってる?くつわむし?」(お客で知っている人が居ず)「もっと有名な虫の名前にするとか」「別に有名な虫の名前にしたら売れるというわけじゃ…」「『てんとう虫のサンバ』とか売れてるじゃん」「じゃあ『くつわむしのサンバ』で。」「くつわむし変わってないじゃん。。ということで次はサンバのリズムで始まる曲を」とつなげて「Oferere/Azoth」に入ったMCが見事でした。エレクトリックバイオリン太田惠資は今年に入って体の調子をおかしくしてしまって倒れられたそうで、そこから回復してのライブ。そのせいかスピーカーを使ってアラブ民謡的、ホーミー的に入れ込む歌部分ではいつもよりおとなしめだった印象。

 ツインドラムの2人はROVOでもお馴染みですが、ドラム、パーカッションの2人のからみということではこちらのバンドの方が堪能できますね。先ほど書いたサンバのリズムから入る「Oferere/Azoth」も二人だけでダイナミズムあふれる展開を聞かせていましたし、アフロビート、ロック、ジャズなどどんなリズムでも来いみたいな達人っぷりが味わえます。

author:de nudge, category:live(Pit-Inn), 09:49
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2013/05/22 The Thing at 新宿Pit-Inn
 スウェーデンのジャズロックバンド。人気のようで後方立ち見エリアも人が埋め尽くされているくらい満杯。日本のミュージシャンの方もちらほら。

 サックス、ベース、ドラムの編成で、自分はCato Salsa Experience and The Thing with Joe Mcpheeという名義のCD(視聴機で聞いたことあるだけですが)を知っていましたが、そのジャンクなロッケンロールがなんともかっこよく印象に残っていました。またサックスのMats Gustafssonは大友良英とも仕事をしていて、大友良英New Jazz Orchestraのヨーロッパツアーにもメンバーとして同行していました。MCではCato Salsa Experience、Joe Mcphee、大友良英の名前を挙げていましたが、残念ながらどんな話だったか聞き取れず。

 3曲くらい45分のセットを前半と後半でそれぞれ。さらにアンコール10分弱1曲というライブでした。ベースはアンプにつけて、ドラムとサックスはマイクを通してはいるのですが、極めて生の感触が強い、低音でかわいた感じの音でした。リズム無しでフリーキーに進む展開あり、ソロあり、ロックなリズムでゴリゴリと突き進む展開ありと緊張感ある演奏はかっこ良いです。ベースのIngebrigt Haker Flatenはエレクトリックの横ベースと、縦ベースを曲により使い分けていました。縦ベースもアンプにつなげて加工した音を響かせたりする場面もあって、屈んだ姿勢で弓で一心不乱に弾くソロ場面が一番印象的。ドラムのPaal Nilssen-Loveはいろんな叩き方で聞かせますが、最初の曲でやったような明確なリズム無しで細かく叩きまくるジャズなドラムが一番つぼでした。一曲の中でもリズムがどんどん変わっていてどこまで即興でやっているのか決めてやっているのか判別つかず。ただ、アイコンタクト無しで展開ががらっと変わる場面もあったので、決められた曲をがっつりやっているのかなーと。ユニゾンで演奏するのも織り込まれ、日本の野球応援で聞こえたりする、かっとばせーなんとーかみたいに聞こえるユニークなフレーズもあったりしました。サックスはマイクから離れてかすれたソロを聞かせたり、ガレージ臭漂う激しい音を聞かせたりとすごかったですね。通常の日本各地を回るツアーは日本ミュージシャンのゲスト入れたりしているようですが、今回は3人のみでずっとやるようです。3人のみの世界をじっくりと味わえたのは良かったですね。音源きちんと聞いていないので、ある程度吸収してからまた聞いてみたいです。

 Paal Nilssen-Loveは、このバンド以外でもしょっちゅう来日しているようで、ここ最近の来日日程と今後の予定の告知聞くと3ヶ月に1回くらいのペースになるんじゃないでしょうか。

author:de nudge, category:live(Pit-Inn), 12:16
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2012/04/14 板橋文夫FIT! at 新宿Pit-Inn
 去年の横濱JAZZ PROMENADEで見たピアニスト板橋文夫が若手リズムセクションと組んだトリオ編成のライブを見ます。JAZZ関連のバンド名って、演奏者の名前をつなげただけのものをよく見ますが、こちらも名前の頭文字を取ってつけたんですね、今回初めて気づきました。
 
 ともに北海道出身のベース瀬尾高志、ドラム竹村一哲。ざんばら髪をたばねた荒武者な風情で荒々しい弾き方をする瀬尾高志、1989年生まれと超がつく若手で細身のイケメンですました顔でクールにいろんなリズムを叩き分ける竹村一哲とともにかっこよい演奏スタイルで見てて楽しいですね。
 
 先月左手の中指爪に雑菌が入って痛めてしばらく活動休止を余儀なくされていたそうな板橋文夫は包帯を巻いているものの、現在は万全だそう。商売の命とも言える指を痛めたということで、おだやかでは無かったでしょうね、無事回復されて良かったです。豪気に弾きまくる今まで見てきたスタイルに加えて、曲によりピアニカを使っていてそれは初めて見るような。
 
 前回見たときはダイナミズムあふれる息の合わせ方に感動したのですが、今回はその印象は少し減じていて、メロディの良さや曲展開のおもしろさを堪能しました。休憩30分あったものの2時間半くらいの長時間ライブをトリオで演奏しきりましたね。前半にやった短いテーマ部をユニゾンで演奏した後に、「いってつー」と声を上げてソロ演奏に導く曲や、後半始めの方にやった瀬尾高志作曲のものなんかは特におもしろかったです。瀬尾高志は弓引きなんかもしたりいろんな演奏スタイルを見せますが、荒々しく弦をはじいたり叩いたりしながら演奏する音と姿が特に魅力的ですね。

author:de nudge, category:live(Pit-Inn), 13:06
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